ビジネスモデル

ビジネスモデルキャンバスの右側=「収益」を書く

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ビジネスモデルキャンバスの右側=収益

ビジネスモデルキャンバス全体の説明は→コチラ
ここでは、ビジネスモデルキャンバスの右側=「収益」を生む部分について、その考え方、整理方法、書き方を解説します。

ビジネスモデルキャンバス(右側)|①顧客セグメント

ビジネスモデルキャンバスの顧客セグメントビジネスを行う企業・組織が関わる(関わろうとする)顧客について定義していきます。自分たちが注力すべき顧客は誰なのかを明確にし、対応すべき顧客セグメントの優先度をを整理することが大事です。

顧客セグメントからデザインする

ビジネスモデルをデザインするとき、通常は、まず顧客セグメントを考えるところからスタートします。顧客の立場に立ってニーズ・ウォンツを分析することで、真の顧客価値が見えてきます。また、BtoCやBtoBのビジネスモデルであれば、自分たちが提供する価値は、その商品やサービスを利用する顧客(最終顧客)へ届けられます。しかし、BtoBtoCなど、自分たちが届ける価値が複数のステークホルダーを経由して最終顧客へ提供される場合(実際にはこのケースが多いでしょう)には、自分たちが直接関わる顧客が求める価値と、最終顧客が求める価値は異なるため、その点も考慮して考える必要があります。

プロダクトアウトでデザインする場合

プロダクトアウトでデザインする場合には、価値提案から考え、その価値を求める顧客セグメントを定義していくことになります。この時は、ビジネスモデルキャンバスの左側に注目し、自分たちの強み=真に顧客から評価されているところは何かを十分に分析します。そして、この分析が自分たちの一人よがりにならないように気をつける必要があります。

顧客セグメントの基準例

顧客を一定のセグメントに分けて、グループとしてまとめて記述しておくと分かりやすくなります。セグメントの基準例として以下のような考え方があります。

  • 地理的基準:地域、都市の規模、気候 など
  • 人口統計学的基準:性別、年齢、家族構成 など
  • 社会学的基準:ライフスタイル、パーソナリティ、所属する組織・集団 など
  • 行動基準:使用タイプ、使用率、ブランドロイヤリティーの程度 など
  • 心理学的基準:態度、動機、学習 など
  • ベネフィット基準:経済性、品質、付帯サービス など

また、これらのどれか一つだけで考えるのではなく、組み合わせて考えることで、より具体的な顧客像を設定できるようになります。

例:首都圏に住む(地理)20代女性独身(人口統計)東京勤務で残業が多く帰りが遅い(社会)何か決めるときはじっくり考える傾向が強く(行動)ブランド品にはあまり興味ない(心理)でもこだわりの製品を好む(ベネフィット)

セグメンテーションの仕方には、これ以外にも様々な基準、手法があります。総てを網羅的にしようとすると時間もコストも増大します。自分たちにあった方法を選択するようにしましょう。

ビジネスモデルキャンバス(右側)|②価値提案

ビジネスモデルキャンバスの価値提案

顧客セグメントが何を求めているかを整理し、自分たちが何を提供するのか(するべきなのか)を記述します。

価値=顧客が真に求めているもの、求めるもの

「顧客にとっての価値」を生み出す製品・サービスは一体何なのか?顧客は自分たちに何を求めているのか?なぜ、自分たちを支持してくれているのか?を徹底的に考え、時にはインタビューをし、顧客が自分たちを選んでくれる真の理由を見つけ出す必要があります。
顧客は、わがままで、気ままで、移り気で、ときには不平を言います。そんな顧客の要求をどう満足させ続けられるのか。それは、ユニークで新しく他には見たことも体感したこともないものかもしれません。もしかすると、既存製品をちょっとだけ変えただけのもので良いかもしれません。

顧客の嬉しい/嫌だと感じることに目を向ける

顧客が嬉しいこと=顧客にとって利益となること、欲しいと思っていること、などを挙げてみて、これを作ること・増やすことを整理します。自分たちの商品・サービスが、どのように顧客の利益を創出したり増大させたりするかを深く考えます。
顧客が嫌だと思う=顧客が仕事を遂行する際に嫌だと感じること、悩んでいることなどを挙げてみて、このことを軽減することを整理します。自分たちの商品・サービスは、顧客の痛みを一時的に軽減させる鎮痛剤なのか、根本的に取り除く大手術なのか、それによっても顧客へ提供する価値が異なります。

顧客は変わる 価値も変わる

最初は非常にユニークと思うものであっても、ほとんどの場合まねをされるか、似たような商品・サービスが出てきます。市場導入時に勝つだけではなく、その後も勝ち続けられるものか?勝ち続けるために、変化に対応できるものか?未来を考えなければなりません。しかし、最初から完璧な未来予測をすることは困難です。最近では、企業・組織が当初提供していた価値と別の価値を顧客が見出してくれることで大きな成功につながるケースもあります。ビジネスモデルを実行していくうちに、最初は見られなかった、確認できなかった潜在ニーズにいち早く気づき、価値として提供するために変革をしていくことが重要です。

ビジネスモデルキャンバス(右側)|③チャネル

ビジネスモデルキャンバスのチャネル

顧客セグメントに対して価値提案を届けるための様々な接点を整理します。

顧客との接点となる重要な部分

消費行動プロセスにおける認知、興味・関心、欲求、記憶、購入(提供)、アフターサービスなど、顧客とのインターフェースであり重要な部分です。また、商品・サービスについての周知(広告・宣伝)をする部分にもあたります。また、ビジネスモデルキャンバス左側の「⑧パートナー」とも関係しますが、代理店など、自社以外のリソースを活用してチャネルを形成することもあります。
現在では、対人だけでなくWEBも重要なチャネルの一つとなっています。特に最近では、スマートフォンの急速な普及は無視できず、スマートフォンに対応することは必須といえます。

チャネル戦略は大きく変化しオムニチャネルの時代へ

チャネル戦略の考え方は、シングルチャネル→マルチチャネル→クロスチャネル→オムニチャネルと変化してきています。オムニチャネルとは、全てのチャネル(リアル店舗、電話、WEB(PC、スマホ))を連携させてお客様にアプローチするもので、リアルとネットが融合することで、顧客をワクワクさせる新たな仕掛けを作ることができます。オムニチャネル戦略では、どのチャネルからも「個客」の特定ができることが重要であり、顧客情報の一元管理が必須です。

ビジネスモデルキャンバス(右側)|④顧客との関係

ビジネスモデルキャンバスの顧客との関係

自分たちが顧客セグメントとの関係をどのように構築・維持していくか、すでに構築しているのかを整理します。

顧客を獲得するだけでなく維持することが大事

顧客を獲得し、維持し、拡大するために、どのような仕組みを持てば良いかを考え、そのためにどれくらいのコストがかかるのか、他のブロックとどう関係するのかを検討していきます。店頭における対面、電話応対、WEB(PC、スマホ)など様々な場面で、顧客との関係を構築・維持する必要があります。

顧客を育成するという考え方

「③チャネル」と関係しますが、顧客を「個客」として管理し、その個人ごとに関係を深め、維持していくことが重要です。何度もご利用いただける固定客化を図るとともに、最終的には、周囲に対して良い口コミをしていただけるまで育成していきます。
そのための顧客管理のデータベースを、本部などで一括管理・分析し、日々の運営に活かしていきます。例えば、顧客分析では、最近の利用状況/累計利用回数/累計利用金額などに応じてランク付けし、そのランクに応じて対応を行ない、継続利用につなげます。
ただし、業種・業態(ファーストフード店など)によっては、顧客管理が難しい場合もありますし、本格的に実施しようとすると、かなりのIT投資が必要になることもあります。自社の状況に応じた、最も適した現実的な方法を検討してください。

ビジネスモデルキャンバス(右側)|⑤収益の流れ

ビジネスモデルキャンバスの収益の流れ

収益の流れはビジネスにおける動脈のようなものです。自分たちのビジネスが顧客セグメントから生み出す収益の流れを記述します。

ここでも顧客の視点が必要

顧客は、どんな価値に「お金」を払ってくれるのか?我々は、常に問い続ける必要があります。この問いに答えられなければ収益の流れを生み出すことはできません。また、顧客がどのようにお金を支払うのか・支払いたいと思っているのか・支払いやすいのかを考える必要があります。
収益には、随時生み出されるものと、定期的に生み出されるものとがあります。例えば、商品を購入したことで、その全額を一括で支払う場合。分割して支払う場合。サービスの使用料として支払う場合に、1回の利用で支払うのか、継続的に利用する中で定期的に支払うのか。あるいは、目に見える・体感できる商品・サービスだけでなく、ブランド価値として、その対価を支払う場合もあります。さらに、BtoBビジネスでは、知的財産の利用と引き換えにライセンス料という形で支払う方法もあります。その他、様々な「お金」の受け取り方があります。自社の都合だけではなく、顧客視点から考えることが必要です。

価格の決定は最も難しい

商品・サービスの価格設定は最も難しいことかもしれません。価格設定の方法は「コスト志向型」「需要志向型」「競争志向型」などに分類されます。

コスト志向型

その名の通りコスト(製造、マーケティング、販売など)に一定のマージンを足して考える方法や、損益分岐点に目標利益を加え、それをもとに競合先の価格や、価格の変更に顧客がどれだけ反応するのかなどを考慮して決める方法などがあります。

需要志向型

顧客(消費者)が、製品・サービスに対して抱く品質や価格に対する総合的な価値判断をベースに決定する方法。需要変動を基準に顧客・地域・時間帯などによって価格を変える方法。顧客の感じるブランド価値を基準に考える方法。長期的にわたってあまり変化していない価格を基準に考える方法。端数をうまく使って割安感を与える方法(1,980円など)などがあります。

競争志向型

競合他社の設定価格、業界の平均価格を基準にして考える方法です。入札によって決まるようなケースでは、他社が設定してくると思われる価格を推測して設定します。

 


以上が、ビジネスモデルキャンバスの右側=「収益」を生む部分についての考え方、整理方法、書き方でした。
常に「顧客」にとっての「価値」を意識し、決して自分たちだけの独りよがりにならないよう留意する必要があります。そのためには、早い段階から、その業界の有識者や関係者へヒアリングを実施したり、実際の顧客へテストマーケティングするなどをして、ズレが生じないよう検討を進める必要があります。

関係コラム:
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参考:http://www.businessmodelgeneration.com

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