フランチャイズ加盟

シナジーか?リスク分散か?法人企業のFC加盟による事業多角化

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法人企業のFC加盟による事業多角化

最近、法人企業が事業多角化を図っていくために、フランチャイズ加盟を検討するケースが増えているようで、私の元にも、そのような相談が多く来るようになりました。
今回は、法人がフランチャイズ加盟を検討する際のポイントについて解説します。

新規事業におけるシナジー効果

企業が新規事業を展開しようとする場合、通常、既存事業とのシナジーを考えます。
「シナジー」には、相乗効果や共同効果という意味があります。複数のものが作用しあって効果を高めることです。例えば、製造業であれば「保有技術を活かした開発」「同一の製造ラインでの製造」などが考えられますし、「現在の販売チャネルの活用」「仕入や販売の共有化によるシナジー」などもあります。

具体的な例として「富士フイルム」をあげます。
デジタルカメラが急激に普及し、これまでの写真フィルムの需要が減り続ける中、既存事業(写真フィルム)で培ったコア技術を新規事業へと展開しました。抗酸化技術、微細化技術、コラーゲン技術は、化粧品(アスタリフト)へ、偏光板保護フィルム技術は、液晶用フィルム(フジタック)へと展開されました。

富士フイルムのビジネスモデル

法人のフランチャイズ加盟による事業多角化

事業の多角化を考える場合、下図のような成長戦略マトリクスで整理できます。「事業領域」と「顧客」の2軸を、「現状」「隣接」「異種」の3つに分類し、3×3マトリクスで事業戦略の方向性を考えます。

このマトリクスを元に、フランチャイズ加盟によって事業多角化を図る際の考え方や、その例を整理しました。

成長戦略マトリクス

<A領域>
既存事業で顧客を増やしていく領域で、フランチャイズの場合、通常は既存事業の看板をおろして、加盟した本部の新たな看板で行っていくことになります。主には、コンバージョン型と呼ばれるタイプで、同業種の事業者を同一の商標・サービスマークの下にチェーン化するものです。自社のブランド力や情報収集力、経営ノウハウが不足している場合には、本部が保有するこれらの資源を活用することができます。不動産業や建築業に多くみられ、先に述べたホテルのケースもこの領域になります。

<B領域>
既存事業と比較的近い事業へ展開する領域で、フランチャイズの場合、飲食(宅配ピザ)→飲食(居酒屋)など、同じ業種の他業態へ加盟するタイプになります。異なる顧客特性を持った事業を組み合わせることで、企業全体として、売上を安定させることができます。例えば、宅配ピザ事業者が居酒屋フランチャイズに加盟するようなケースが考えられます(宅配ピザ:休日、悪天候時に注文が多い ⇔ 居酒屋:平日夜が中心。悪天候時は来客が少ない)

<C領域>
既存事業とは異なる事業へ展開する領域で、事業のリスク分散効果が最も発揮されるものです。例えば、建設業が学習塾フランチャイズに加盟するようなケースです。この領域で考える場合、新規事業に活用できる経営資源(ヒト・モノ・ノウハウ)が、基本的には自社内にはないため、フランチャイズ本部のノウハウ、指導力が不十分だとリスクばかりが高くなるので注意が必要です。

シナジー効果の発揮か?リスク分散か?

成長戦略マトリクスの領域

フランチャイズ加盟による多角化という手段を取る場合、既存事業とのシナジーをあまり考える必要は無いと言っても過言ではありません。むしろ、既存事業の弱みを補う、出来る限り離れた事業へ加盟したほうが良いとも言えます。つまり「リスク分散」という考え方です。

また、フランチャイズ本部は、加盟者が当該事業に関して未経験であることを前提として教育システムなどの設計をしています。このノウハウを素直に吸収することが重要です。フランチャイズ加盟によって事業を成功するためには、本部から提供されるノウハウをゼロから学び、吸収し、素直に実行していく姿勢が大事です。下手に経験や知識があると素直に指導を受けられず、結果的に失敗してしまうケースも多くなります。

ただし、前述したとおり、フランチャイズにも様々なタイプがあるため、自社の理念、戦略ドメイン、ビジョンなどと照らし合わせ、自社に最も適した方法を取る必要があります。

法人企業が加盟を検討する際の5つのポイント

法人企業が、フランチャイズ加盟を検討する際のポイント(自社のチェックポイント)を5つ挙げました。

法人FC加盟のポイント

①フランチャイズ加盟への目的は明確か

目的が不明確だと、成功かどうかの線引き、伸長、撤退の判断もできません。このような状況は従業員の勤労意欲にまで悪影響を与える可能性があります。なぜ加盟するのかという目的を明確にすることが重要です。

②フランチャイズ加盟の重要性と意義をトップ自ら社員に伝えているか

経営者の持つフランチャイズ加盟への考えが、フランチャイズ部門に配属された従業員の意欲を左右します。フランチャイズ加盟の将来への必要性、成功への確信を語ることが理想であり、フランチャイズ加盟にかける意気込みを全従業員に伝えることが重要です。

③ビジョン(将来構想)を明示したか

新たに事業を展開する場合には、最初にビジョンを掲げることがが重要であり、本部任せにすることなく自社で打ち立てることが大切です。ビジョンが明確になると、従業員も安心感を持ちます。ビジョンにより具体的な計画も立てやすくなり、PDCAサイクルも正確に回せようになります

④エース的人材を投入できるか

加盟したフランチャイズの事業領域が、既存事業と離れたものである場合、フランチャイズ部門に配属された従業員は疎外感を感じることが多くなりがちです。①~③の対応をしたうえで、新たな事業に立ち向かえる、エース的な人材を配属させることが重要です。エースを投入することで、会社の本気度も伝えることができ、全社的な意思の結束も可能になります。間違っても、人員整理要員を配属してはいけません。良いフランチャイズチェーンに加盟しても成功確率は極めて低くなります。

⑤情報収集に時間をかけたか

フランチャイズ加盟までに十分に時間をかけ、よく検討することが重要です(段取り八分)。不安な側面を残したまま加盟に踏み切って失敗した例は数多くあります。経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有効に活用することで多くの情報を入手することが可能です。

フランチャイズ加盟での成功ポイントは?

フランチャイズ加盟で成功する最大のポイントは、なんといっても本部選びでしょう。本部選びの際には、自社の経営理念や将来ビジョンに従って絞りこむとともに、マニュアルやトレーニングなどの教育システムがしっかりと構築されている本部かどうかをしっかりと見極めていく必要があります。

以下に、フランチャイズ本部を見極めるためのポイントを6つ挙げました。

FC本部選び6つのポイント

①本部経営姿勢

本部がどのような経営者(経営陣)のもとで、どのような経営理念を掲げ、フランチャイズ事業をいかに展開しようとしているのか。その結果、本部として社会および自分に対し現時点でどのような印象を与えているのかを、「フランチャイズチェーン理念」「経営者の資質(経歴、専門知識、人間性)」「将来ビジョン」「会社の品格、印象」の4つの評価項目で確認します。

②情報公開度

加盟希望者が不十分な理解や誤解に基づいて本部の評価や選択を行うことがないよう、経営実態をありのままにきちんと開示しているかどうかを、「ホームページの充実度」「資本金、従業員数、店舗数、直営店比率の公開度」「フランチャイズ事業年数、企業設立年月、沿革の公開度」「出店数・閉店数(年間新規加盟数・解約数)」の4つの評価項目で確認します。

③店舗展開可能

加盟後、多店舗展開することが期待できるのかどうかを、「モデル店舗」「商品力」「商品供給の安定度」「商品開発力」「複数出店可能性」の5つの評価項目で確認します。

④加盟店支援力

本部が加盟店の成功と発展に必要不可欠な支援機能を備えているかどうかを、「開業サポート、開業前研修内容」「加盟店会の有無」「SV(スーパーバイザー)」「本部実施の販促内容」「不振店対策」「マニュアル」の6つの評価項目で確認します。

⑤店舗収益性

加盟店の成功の可能性と成功の度合いを、「モデル損益、営業利益率」「ロイヤルティ・その他の本部徴収金」「生産性(売上/人、売上/坪)」「初期投資額(投資回収期間)」の4つの評価項目で確認します。

⑥加盟店満足度

既存加盟店の満足度を「加盟店満足度」1項目に絞り込み、複数店舗経営率、途中解約率、加盟店からの訴訟率、契約更新率の4指標を用いて客観的に確認します。

 


以上、法人がフランチャイズ加盟を検討する際のポイントについて解説しました。

最近の相談案件として、フランチャイズに限らず、新規事業の開発に関することが増えています。実際、私のコンサルティング案件でも、新規事業の展開に向けたフィージビリティスタディや、ビジネスモデル作り、事業計画書作成などが多くなっています。激変の時代、生き残りをかけた新たな挑戦をしている現れだと思います。

既存事業の経営資源を活かした新規事業の展開もありますが、フランチャイズ加盟による新規事業展開も有効な手段ですから、一つの方法として検討してはいかがでしょうか。

 

※参考書籍:
新版 よくわかる!フランチャイズ入門』(同友館)
『本部評価ガイドブック(2005年版)』(フランチャイズ研究会

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