フランチャイズ本部に必要な7つの機能(組織)とは何か?どのように構築していくのか?

私がフランチャイズ本部構築の相談を受ける際、
「フランチャイズ本部として、どのような組織を作っていけばよいのかわからない」
という質問をいただくことが多々あります。
今回のコラムでは、フランチャイズ本部に必要な組織=機能という点から考えてみたいと思います。

一般的に、フランチャイズ本部には次の7つの機能(組織)が必要となります。

【機能1】商品/サービス開発・マーケティング機能

消費者の支持を獲得し続けられるような、差別化されたユニークな商品・サービスを開発し提供する機能です。大事なことは、社会情勢や経済状況、消費者ニーズなどの変化に対応し、新たな商品/サービスを生み続けることです。
直営のみの展開でも必要な機能ではありますが、加盟者からしてみれば、本部が魅力的な商品/サービスを開発し続けてくれるからこそ店舗運営に集中できます。加盟者が本部に求める重要な機能となります。

【機能2】業態開発・イノベーション機能

外部環境の変化に対応し、絶えず業態の開発およびイノベーションによりフランチャイズチェーンとしてのコアコンピタンス(強み)を維持継続する機能です。
現在は、社会環境、経済環境の変化のスピードが速く、顧客ニーズも多様化しています。この変化に合わせて素早くビジネスモデルをブラッシュアップしていかなければ企業として生き残っていくことが難しい時代になっています。
例えば、コンビニエンスストアでは、若い男性が対象の商品構成を中心とした小売業でしたが、料金収納代行・チケット購入端末・ATMの導入などを実施したり、野菜・惣菜・チルド食品の取り扱いを増やしたりするなど業態をブラッシュアップさせてきました。そして今、24時間営業の見直しも迫られています。

【機能3】教育研修機能

加盟者にフランチャイズチェーンの理念、経営・店舗運営ノウハウを教え伝える機能です。教育システムの一般的な形態としては、「開業前研修」と「開業後研修」に分けられます。
加盟者が、開業前に店舗経営に必要なノウハウを身につけ、開店後も順調に経営しブランドイメージを維持できるように教育・訓練することが重要です。
フランチャイズ本部のノウハウを形にしたものがフランチャイズマニュアルですが、この内容に従って研修カリキュラムを作ります。開業後の教育は、次の【機能4】と関連します。

【機能4】店舗運営サポート・スーパーバイジンング(SV)機能

SV等が店舗を継続的に訪問し、店舗運営の状況等をチェック、指導する機能です。必要に応じて、定期・不定期に加盟者を集めて研修等を行うこともあります。
SVは、本部の方針や店舗運営基準を伝えたうえで、加盟者側の立場に立ち、成功のためのアドバイスやサポートをすることが必要です。商品/サービスの改良・開発、研修内容の補充・発展をさせていくために、SV活動を通じて加盟者の意見を収集する役割も必要となります。

※参考コラム:

【機能5】店舗開発・加盟店開発機能

物件(出店候補)を探し店舗を増やしていく機能、加盟者を増やしていく機能です。
フランチャイズ本部は出店可否を判断できる立地評価の基準を持ち、プロトタイプにあう物件(出店場所)を探し出店していきます。さらに、加盟者を募集し契約に結びつけ、場合によっては前述した物件を加盟者に紹介します。
フランチャイズチェーン本部は、加盟者ターゲットと出店エリアを明確にしておく必要があります。加盟者のターゲットについては「法人/個人」によって営業の方法が異なります。出店エリアについては、本部所在地から遠いエリアの場合にはコストがかかります。
これらの2つ機能には異なる能力が求められるため、それぞれを別の組織とする場合もありますが、本部の考え方、成長ステージにより組織体制は異なります。

【機能6】物流機能

店舗運営に必要となる商品や原材料・資材等を供給していく機能です。加盟者が同じブランドイメージで同じ業態を運営するために必要な商品・原材料・資材等を、フランチャイズ本部は加盟者に対して供給し続ける義務があります。
特に小売業、外食業では、フランチャイズチェーンを維持していくための機能として整備することが欠かせません。

【機能7】情報システム機能

店舗運営に必要な情報システム(IT)を構築・提供していく機能です。必要な情報システムとしては、仕事の流れや情報を効率的に把握し分析するための経営管理システム(販売管理、購買管理、在庫管理、労務管理、会計管理など)や、本部と加盟者の間での円滑なコミュニケーションを実現するためのシステム(グループウェア、オンラインストレージ、SNSなど)などがあります。
最近では、これらの情報システムがWEBサービスなどの形で提供されており、本部が1から開発するというケースは少なくなってきています。しかし、フランチャイズ本部としての強みを維持するため、一定のカスタマイズや必要に応じた開発を行うこともあります。

以上が、フランチャイズ本部に必要な7つの機能ですが、アーリーステージの本部においては、人員や資金などの面から、全ての機能を自社で賄うことが困難な場合が想定されます。特にアーリーステージの本部においては、人員や資金などの面から、初めから全ての機能を自社で賄うことが困難な場合が想定されます。

  • どのような考え方・手順で、これらの機能を構築していくべきか?
  • これらの機能をアウトソーシングできないのか?
  • 他のフランチャイズ本部はどのようにしているのか?

次に、この点について解説していきます。

本部機能構築の優先順位とアウトソーシング

改めて本部に必要な7つの機能を確認します。
【機能1】商品/サービス開発・マーケティング機能
【機能2】業態開発・イノベーション機能

【機能3】教育研修機能
【機能4】店舗運営サポート・スーパーバイジンング(SV)機能
【機能5】店舗開発・加盟店開発機能
【機能6】物流機能
【機能7】情報システム機能
すでに店舗を展開し、フランチャイズ展開にふさわしい業績が出てきているのであれば、大なり小なり【機能1】【機能2】はあるものと想定されます。最初は、社長や直営店の店長などが、兼務で、この機能を果たしているケースもあるでしょう。ここは、加盟者が期待する重要な機能となりますので、社会情勢や経済状況、消費者ニーズなどの変化に対応し続けるためにも、企業の成長に合わせて少しずつ専任の担当を配置していくなど、充実させていきたいとこところです。
そして、これからフランチャイズ展開をしていく場合、必ず準備しておきたい機能は、【機能3】【機能4】【機能5】です。
この場合、本部要員としては、社長を含めて3名程度は準備しておきたいところです。直営店の運営業務と兼務になることは想定されますが、例えば、

  • 現場をよく知る人員を教育担当兼SVにしつつ、最初のマニュアル作成を担当させる
  • 加盟者との契約管理業務、入金確認などの総務ほか内勤業務の担当を用意する
  • 店舗・加盟店開発は人脈が広い社長が担当する

というようなところから準備を進めていき、フランチャイズ店が3店舗程度展開できてきたら、専任の担当を配置するといった方法が考えられます。
フランチャイズ本部としての成長に合わせて、最初はあまり人員やコストをかけずに立ち上げていくことが現実的です。【機能6】【機能7】については、最初はアウトソーシングし、規模の拡大とともに自社に切り替えていくという方法もあります。

フランチャイズ本部のアウトソーシング事情

それでは、世の中のフランチャイズ本部は、これらの機能をどうしているのでしょうか?
古い情報になりますが、2008年の経済産業省「フランチャイズチェーン事業経営実態調査報告書」によると、アウトソーシングを実施している本部機能として、

  1. 加盟者募集・契約交渉
  2. チェーンの宣伝活動
  3. 情報化,効率化

といった項目が上位に上がっています。
また、アウトソーシングの年間費用としては、概ね1000万円程度となっています。

しかしながら、
【機能3】教育研修機能
【機能4】店舗運営サポート・スーパーバイジンング(SV)機能
【機能5】店舗開発・加盟店開発機能
これらの3機能は、フランチャイズ本部の中核機能であるため、安易に外部にアウトソーシングすることはおすすめできません。
特にアーリーステージのチェーンにとってはノウハウを蓄積していく上で非常に重要となる機能なので、少し大変でも、前述したような手順を踏みながら作り上げていくことをおすすめします。

参考書籍:フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)

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