フランチャイズ本部は“絶対”に商標登録をしましょう

最近、シンガポールにある某スイーツ店(A社)の商標に関してニュースが飛び交っています。これは、A社のサービスマークを日本の企業(B社)が先に商標登録をしたために、A社が日本進出してきた際に、このサービスマークが使えないため、やむを得ず違う名称で店舗展開を行うことにしたというものです。正直、B社のやっていることは倫理的には許されないという思いはあるものの、今の日本法律的には問題にすることは難しいようです。

これと同じようなトラブルは、FC業界でも起きています。そこで、今回は「フランチャイズ本部と商標」について考えてみたいと思います。

FC本部が商標登録を怠っていると

FC加盟による事業展開のメリットの一つとして挙げられるのは、そのチェーンの看板(ブランド)が使えるということです。その知名度や信用性を利用でき、その結果として集客が期待できるのです。

しかし、この看板(ブランド)について、FC本部が商標登録をしていなかったばかりにトラブルが発生しているケースがあります。

X社は、ある有名な九州ラーメン店を展開していましたが、商標登録を怠っていました。すると、Xが社より後にラーメン店を開業した競合店のY社が同じ名称の商標登録を行ってしまったのです。結局、本家だったはずのX社は、名称を一部変更しなければならなくなったのです。最初に紹介したスイーツ店A社・B社の事例と一緒ですね。

商標登録の必要性

以前に、FCのビジネスモデルについて解説しました。

FCビジネスでは、本部と加盟者の間でFC契約を締結します。そして、この契約内容に従って本部から加盟者に対してFCパッケージが提供されます。

FCパッケージとは、「商標の継続的使用の許可」「経営ノウハウの提供」「継続的な経営・運営指導」などが含まれ、一連のビジネス展開に必要なものとして、包括的かつ体系的に、標準化されたパッケージとして提供されます。 この、「商標の継続的使用の許可」が提供されることで、加盟者は同じ看板を使い商売をおこなうことが出来るわけです。

そして、この前提として、本部は商標登録をしておく必要あるわけです。商標登録をすることで本部には商標権が発生し、他者に対して類似商標の使用を禁止することができるのです。

しかし、本部が商標登録をしていないとどうなるでしょうか。競合他社が、同一の商標やサービスマークを使用しても中止を求めることができません。それだけではありません。その競合他社が先に商標登録してしまうと、先に事業を始めていたFC本部であっても、その商標を使うことができなくなってしまうのです。事業を継続しようとなれば、商標・サービスマークの一部または全部の変更をしないといけなくなり、これまで築き上げてきたチェーンの統一イメージやブランドイメージが崩れてしまいます。しかも、商標・サービスマークを変更するとなれば、当然にFC加盟者も変更せざるをえません。そのコストも相当大きなものとなりますが、法的にはどうすることもできないのです。

だから、このようなトラブルを防ぐためにも、商標・サービスマーク等の商標登録をしておくことは必要不可欠なわけです。

商標登録をするには ~FC本部は「35類」を忘れずに~

なかには、本部自身で登録作業を進める企業もありますが、実際に登録する場合には、調査も含めて、専門家である弁理士に相談されることをお薦めします。やはり、専門的な分野はその道のプロに任せ、本部は本部として行うべきことに集中されたほうが良いかと思います。

ここでは、ポイントだけお伝えしておきます。

まず、商標登録をするには、商標権を主張できる範囲を明確にしておく必要があります。例えば、スイーツ店を行うのであれば、「商品および役務(サービス)の区分」について、「菓子」全般の属する「第30類」を指定して特許庁に出願します。

ここで、FC本部の場合に押さえておくべき区分として「35類」を必ず登録してください。35類には、「経営の診断又は経営に関する助言」「市場調査又は分析」「商品の販売に関する情報の提供」が含まれています。FCビジネスにおいて、本部の事業領域として重要なものです。

そして、登録前には、まず登録したい商標と同一の商標が先に登録されていないか調査をしてください。先に同じ区分で登録されていると商標登録はできません。商標の検索には特許庁が提供している『特許情報プラットフォーム(通称J-PlatPat)』を利用してください。
※検索サイトは次の画像をクリックしてください。


以上、FC本部にとって重要な商標登録について解説しました。

本コラムで紹介した事例のように、折角、築き上げた大事なブランドが使えなくなるといったトラブルが発生してからでは手遅れとなります。FC本部として、これから拡大・成長をしていこうというのであれば、かならず商標登録は行ってください。そのときには「35類」も忘れずに。

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