Kernel Consulting https://kernel-c.com フランチャイズ本部構築・立て直しを専門とするコンサルタント。コンサルタント歴18年以上の経験から、フランチャイズ本部構築、フランチャイズ契約書作成、マニュアル作成などを支援します。フランチャイズコンサルタントのカーネルコンサルティングにお任せください。 Wed, 11 Nov 2020 06:02:54 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.4.4 https://kernel-c.com/wp-content/uploads/2018/03/cropped-favicon-32x32.png Kernel Consulting https://kernel-c.com 32 32 フランチャイズ加盟店募集は自社運営のデジタルマーケティングが当たり前の時代に https://kernel-c.com/fc-marketing/ https://kernel-c.com/fc-marketing/#respond Sat, 17 Oct 2020 05:41:14 +0000 https://kernel-c.com/?p=2837 コロナの影響により、2020年3月に行われる予定だった日経主催のフランチャイズ・ショーは中止になりました。同年9月に縮小して開催しましたが、当面、このようなイベントへの参加を禁止とする大手フランチャイズチェーンもあります。営業担当自身が外で人に合うこともできない状態となっています。
これからのフランチャイズ加盟店の募集はどうあるべきでしょうか。
本コラムでは、一般的な営業スタイルの変化を確認し、未来に向けてどのようにしていけば良いのか?今、何をしておくべきなのか?を考えたいと思います。

これまでのフランチャイズ加盟店開発の進め方

これまでのフランチャイズ加盟店開発は、概ね次のように進めていました。

フランチャイズ加盟店開発の流れ

step1

加盟希望者の発掘

ターゲットと展開エリアを明確にする。メディア告知やイベントなどでの情報発信や営業代行会社などを通じて加盟希望者の発掘(リスト化)を行う。

step2

問い合わせ対応

加盟希望者からの問い合わせに対して加盟案内書の送付、加盟希望者の情報(経験、開業時期、予算など)を収集する。継続的フォローを行っていく。

step3

事業説明会

加盟案内書だけでは伝えきれないフランチャイズ本部としての想いやビジョン、フランチャイズシステムの魅力などを伝える。直営店・フランチャイズ店舗の見学ツアーを行う場合もある。

step4

個別面談

事業説明会の参加者を個別説明会へ誘導して、より具体的な情報(既存店の収益状況など)を提示していく。同時に加盟者としての適正を判断する。

step5

加盟申込・審査

加盟申込書と同時に、審査に必要な書類を提出してもらう。トップ面談も行い、審査を通過したならば、法定開示書面を用いて契約内容の詳細な説明を行う。

step6

店舗探し・フランチャイズ契約の締結

本部による店舗探しの支援(情報提供)を行うケースも多い。契約締結前には必ず契約書の読み合わせを行う。契約書を預けて1週間程度の熟考期間を設ける。

この基本的な流れは、これからも大きく変わることはないでしょう。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大によって、各種イベントは中止になり、テレワークが中心になったことでオフィスには人がいません。何よりも営業担当自身が外で人に合うことができない状態となっています。企業の対応、個人の生活や働き方も、コロナが発生する前とは大きく異なっています。

営業スタイルの変化

インターネットの普及や様々なWEBサービスの登場を背景に、営業スタイルは[オールド営業型]→[集客型]→[データドリブン型]と変化しています。そして、コロナ禍の現在から未来にかけて、更なる変化が起きてくるものと予想されます。

オールド営業型

営業といえば、非常に属人的で、個人の持つ営業力・経験・人脈をもとにして結果を出すということが一般的でした。テレアポや飛び込みを数百件したり、数十件の顧客回りをしたり、とにかく数をこなせというスタイルです。
特にインターネットが普及する前は、一人の営業担当が、顧客リストを作り、アプローチし、追客(顧客育成)し、商談に持ち込み結果を出すまで一貫して行うことが当たり前。全ての業務を高レベルで、かつ効率的に進めることは困難であり、その営業方法は属人化し、営業成果の格差は広がるばかりでした。また、属人的であるがゆえに企業全体としてもこれらの営業情報の共有がされておらず、放置されてしまう案件が増えていきました。
そして、追客(顧客育成)というのは、手間はかかるものの、すぐに成果がでないため、その概念だけはあるものの、ほとんど行われていない業務だったといえます。

集客型

インターネットの普及により、企業の情報発信力と収集力が格段に上がってきます。企業がホームページを持つことは当たりまえ。SNSも活用し、自社製品・サービスを認知させようと、検索順位を上げることに躍起になります。
マーケティング部門が作られ、これらの活動とともに、展示会やホームページ、SNSなどから見込客のリストを作成するようになります。ここで作成した見込客リストは営業部門に渡され、営業部門では、追客や提案に力を入れることができるようになります。
ところが、ここで問題が出始めます。マーケティング部門が専門で行うことで見込客リストの数は増えたものの、その質にはバラつきが大きく、商談につながる可能性の低いリストを渡される営業担当は不満を持つようになります。
前述した通り、追客(顧客育成)は成果が出るまで時間がかかります。商談を決めてなんぼの世界で生きている営業担当にしてみれば、今すぐ検討してくれそうな案件だけに集中したいわけで、当然のように、マーケティング部門から供給される見込客リストの重要度は低くなっていきます。見込客の総数は増えたものの、放置される見込客の数も比例して増えていくことになります。
世の中でも、追客(顧客育成)の重要性が高まってくるのですが、具体的な解決方法が確立されず、企業としても追客の重要性はわかっていても、なかなか解決できない状況が続くことになります。

 データドリブン型

これからの時代に求められる営業スタイルは、さらなる分業化とデータドリブン型の営業活動です。これまで、営業部門が担当していた追客(顧客育成)業務を分業します。これを専任する組織はインサイドセールスと呼ばれており、新たに設ける企業が増えています。
インサイドセールスは、マーケティング部門が収集したデータを蓄積し、活用し、見込み客の検討度・意欲度を上げていきます。そのようにして育成された精度の高い見込客リストのみが営業部門に渡されるため、各営業担当者は商談のみに集中できるようになります。成果が個人の営業力に偏ることが少なくなり、効率的な営業活動が可能になるのです。

マーケティングオートメーション(MA)ツールの普及

これまで難しいとされてきた追客(顧客育成)が可能になったのは、企業に集まってくる情報を、ログデータとして自動的に取得・分析できる技術が発達したためです。過去の履歴から顧客の興味や行動を分析し、顧客が求めている情報を配信することも可能です。
データドリブン型の営業を実現するためには、見込み客の行動や動向を蓄積・分析するためのツールの導入が必要になります。それが、マーケティングオートメーション(MA)ツールです。
MAツールとは、一言で言うと「顧客開拓におけるマーケティング活動を自動化・可視化する」ツールです。
MAツールを設置しているサイトに見込み客が訪問し、一定の条件が満たされると、企業名や個人名を特定することができます。企業の場合には、資本金や従業員数、HPのURLなどの企業情報の取得まで可能になることがあります。さらに、見込客が、サイト上でどういう行動を取ったのか(閲覧したページやその順番、滞在時間、ページ読了率、流入元情報、訪問回数など)、詳細な分析をすることが可能です。その見込客がどのような興味を持っているのか、その興味の度合がどれくらい強いのかを推測することができます。
MAツールではメール配信機能がついているものも多くあります。見込客に対して行動、状況に応じて、適切なタイミングでメール配信をすることができます。また、メールの開封率、メールに記載されたURLのクリック率、さらにサイトに流入した見込み客のサイト上の行動も分析可能です。
MAツールで収集するデータは、ただ蓄積するだけでなくグラフや分析レポートとして可視化することも可能で、いま行っている施策に効果があったのかを検証するために有効です。

ウィズ・コロナでフランチャイズ加盟店の開発はどう変わるべきか

最初に解説したように、コロナ禍は人々の生活、仕事のあり方に大きな影響を与えています。
「オールド型」営業のみでは十分な対応ができないことは明白です。この状況で、フランチャイズ本部は何をしていくべきでしょうか。
もちろん業界によって状況は大きく異なりますが、まずはキャッシュアウトを抑えつつ、確保できる資金はとにかく確保すること。国や都道府県、市町村の施策を目ざとく見つけて、使えるものは使うこと。不採算店の整理を行う必要もあるかもしませんが、既存店のブラッシュを行うこと。そして、それと同時に、今の状況下での開発を進めるための準備をしておくこと。
過去を振り返ってみると、このような経済的危機が訪れたあと、フランチャイズ加盟希望者が多く出てくる可能性があります。第一に整理解雇で職を失った個人が増えてくること。そして、既存事業が立ち行かなくなった、あるいは、限界を感じる企業(経営者)が増えてくることが要因です。そして、この状況下で、公的資金が投入されてきます。これらの資金を調達した企業が増えてくることも予想されます。
しかし、既存店に魅力がない、将来性がないフランチャイズに加盟しようとする人はいません。だからこそ、既存店(直営店を含む)のブラッシュは必須です。また、以前よりも情報収集に専念する人が増えています。この状況を安々と逃がすわけには行きません。通常、加盟希望者は1年以上検討を行い意思決定します。だからこそ、今のうちに、フランチャイズ本部自らが情報発信を行い、将来、加盟者(希望者)となる候補者のリストを作っておく必要があるのです。そのためには、「集客型」営業でも不十分です。単なる見込み客(もどき)のリストでは意味がありません。「データドリブン型」の営業スタイルへの変革が必要なのです。

フランチャイズ加盟店募集

しかし、いざデータドリブン型のスタイルへ変えようとしても、すぐに効果は出てきません。インサイドセールスには時間がかかります。
また、重要なのは、オフラインの施策もオンラインの施策も行い、これらの施策を広げて、つないでいくことです。いまや、オフラインもオンラインも融合した「デジタルマーケティング」が当たり前になってきています。

オフライン施策(アナログ) オンライン施策(デジタル)
  • テレアポ/代行
  • 飛び込み
  • DM
  • 新聞雑誌広告
  • 店舗看板・ポスター
  • 展示会
  • セミナー(説明会)
  • WEBサイト(SEO)
  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • SNS
  • オウンドメディア
  • ポータルサイト(マッチングサイト)


この状況下で、これらの施策を具体的に行えたかどうか、その結果は、1年後、2年後に明らかな差となって現れてくるはずです。
ぜひ、将来を見据えた、今行うべき重要な「第一歩」を踏み出していただきたいと思います。


参考情報:
マーケティング担当者のための『エムタメ!
無料で使えるMAツール『BowNow
※カーネルコンサルティングでも、デジタルマーケティングに取り組んでいます。
オンライン活用は今後も続く、今からやっておくことが重要です

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フランチャイズ加盟者向け研修カリキュラムの作成 https://kernel-c.com/fc-training/ https://kernel-c.com/fc-training/#respond Wed, 14 Oct 2020 07:19:26 +0000 https://kernel-c.com/?p=2818 フランチャイズに加盟する大きな目的は、ノウハウ(マニュアルと研修)を提供してもらい、一から事業を始めるよりもリスク少なく事業を開始することにあります。そのため、フランチャイズにおける研修(特に開業前研修)は、本部と加盟者の双方にとって重要なものです。
本コラムでは、フランチャイズ加盟者向けの研修カリキュラムの作成方法について解説します。

開業前研修の意義

基本的に加盟者は、その事業の未経験者であり、仮に同じ業界の経験者であっても、加盟したフランチャイズチェーンの経営システムについては知りません。加盟契約をして、ただマニュアルをポンと渡されて、さあ頑張ってくださいと言われても、当然上手くいくはずがありません。
加盟者は、研修によって運営に必要な知識や技能を習得し、初めて事業を開始することができるのです。

本部にしてみても、未熟な加盟者が運営をすることで、顧客からのクレームが頻発したり、業績不振になったり、最悪すぐに閉店に至ってしまったりすれば、チェーンのイメージを損なう恐れもあります。そうならないよう、一定の基準を満たした経営者を誕生させられるよう、カリキュラムを組んでおく必要があります。

カリキュラムの作成

カリキュラムの設計は、加盟者(受講者)を、「どのレベルまで引き上げるか」を設定したうえで、「そのために必要な教育内容・方法・日数」を検討します。
フランチャイズビジネスでは「短期間で必要十分なノウハウを身につけられる」ことも大きなポイントとなります。開業前の教育に長くかかれば、その分だけ、まだ売上が上がっていない段階で店舗家賃やスタッフの給与などがかかってしまいます。本部にとっては、短期間でプロ経営者に育てる研修システムを持つことが大変重要です。
カリキュラムの項目ごとに、どのマニュアルが必要になるかもピックアップします。ピックアップしたマニュアルを、一つにまとめて研修用のテキストにしておきましょう。マニュアルを作成する際には、単元ごとに切りのよいところで改ページをしておくとピックアップしやすいです。また、座学研修では、紙のマニュアルだけなく、動画マニュアルを用いて進めると実地のイメージがつきやすく、効果的かつ効率的に研修を進めることができます。

研修の実施方法について

研修方法としては、主には知識を学ぶ座学形式と、実際に店舗で業務を行いながら学ぶ実地研修を組み合わせるのが一般的です。座学によって学んだ知識を、店舗運営の現場で実際に使えるように、直営店などを利用して業務遂行能力を身につけます。
研修の実施に向けては、出席の有無、受講姿勢などを記録するための出欠表や記録簿を準備しておき、研修が始まったら、毎回、記録にとっておきます。また、研修中に一定単元ごとに、受講生(加盟者)が一定レベルに達しているかテストを行う必要があります。そのための筆記テスト、実務テストも準備します。特に実務テストは、評価軸を明確にして、曖昧な評価にならないよう設計します。

最近では、コロナ対策のため、インターネットを通じて受講できるオンライン型の研修も増えてきています。
オンライン研修は、PC・タブレット端末とインターネット環境が揃えばどこからでも受講可能なため、移動時間、会議室の確保の手間、交通費や宿泊費などが不要となり、本部・加盟者の双方にとって効率的な研修方法と言えます。
オンライン研修は、「リアルタイムにライブ配信によって行う研修」と「予め録画した動画を見る研修」の2つに分けられます。
「予め録画した動画を見る研修」では、研修当日の受講時間や講師、会場などに縛られずに実施することができるため、受講者は好きな時間・場所で自由に受講できます。本部としては、加盟者が決められた研修を受講したか、受講状況の確認と習熟度合の確認テストだけを行えば良いことになります。
一方、「リアルタイムにライブ配信によって行う研修」は、ZoomのようなWeb会議システムなどを利用してリアルタイムで行います。受講者は、各々好きな場所で研修を受けることができます。研修の受講時間を統一する必要はありますが、リアルタイムな質疑応答やディスカッションなど、コミュニケーションを図れるのがメリットとなります。

加盟店のオーナー(社長)と研修受講生が異なる場合には、研修期間中、オーナーへ定期的に報告を行います。出席状況、受講姿勢、確認テストの点数、研修の修了予定などを伝えます。大事なことは、参加している受講生がふさわしくない人物であれば人員交代の申し出を行うことです。ダメな状態のままズルズルと続けていても、両社にとって不幸になるだけです。そのためにも、出席状況、受講姿勢、確認テストなどの記録をしっかりとっておくことです。
前提として、フランチャイズビジネス契約書に、NGな人材である場合には人員交代の指示を行う可能性があることを入れておく必要があります。


フランチャイズにおける研修は、本部と加盟者の双方にとって重要なものであるということをよく理解していただき、しっかりと準備していただきたいと思います。

参考書籍:
フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)
フランチャイズ研究会 著「フランチャイズマニュアル作成ガイド」(同友館)

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フランチャイズ本部に必要な「立地診断3つの視点」とは? https://kernel-c.com/fc-analysis/ https://kernel-c.com/fc-analysis/#respond Fri, 18 Sep 2020 06:46:41 +0000 https://kernel-c.com/?p=2782 フランチャイズ本部だからといって、立地診断や売上予測は必ず行わなければならないものではありません。

しかし、店舗の出店場所=立地は、業績に非常に大きな影響を及ぼすものです。そのため、加盟希望者はフランチャイズ本部による物件紹介や、出店候補地に対する見立てを期待します。
立地を評価する場合は、店舗のターゲット顧客の来店行動に影響を及ぼす様々な空間情報を体系的に捉える必要があります。その時に必要となるのが3つの視点です。

立地タイプの特徴

立地タイプは、店舗周辺の立地環境や出店する施設の特性等によって区分けすることができます。

立地環境による区分けとしては、駅前、住宅地、商店街、オフィス街、郊外ロードサイド、観光地等があります。

立地タイプ 特徴・留意点
駅前
  • 店前通行量が多く顧客層の幅が広い
  • 通勤・通学ラッシュ等時間帯により通行量に偏りがある
  • 様々な来店客が見込まれる一方で店舗賃料が高い傾向にある
住宅地
  • 購買客になりうるターゲット顧客の近くに出店できる
  • コンセプトに合う顧客がいるのかを慎重に検討する必要がある
  • 店前通行量が少ない可能性がある
  • 地域住民の生活動線を調査する必要がある
商店街
  • 商店街のタイプにより適性業種が異なる
    • 近隣型:最寄品中心で地元主婦が日用品を徒歩・自転車等により買い物を行う
    • 地域型:最寄品及び買回り品が混在。近隣型よりもやや広い範囲。徒歩・自転車・バス等で来街する
    • 広域型:百貨店、量販店を含む大型店があり、最寄品より買回り品が多い
    • 超広域型商店街:百貨店、量販店を含む大型店があり、有名専門店、高級専門店を中心に構成され、遠距離から来街する
  • 商店街のタイプと業態が合っているか検討する必要がある
オフィス街
  • オフィスに通勤するビジネスマン・OL等がターゲット顧客となる
  • 通常、休日は顧客数が大幅に減少する
  • 曜日別、時間帯別の来店客の増減が激しく、ニーズにも偏りがあるため、コンセプトとの整合性を確認する必要がある
郊外ロードサイド
  • 自動車客がメインとなる
  • 店舗や看板の訴求力、店前通行量、駐車場の入りやすさ等が重要
  • 車客のニーズに対応しているかを検討する必要あり
観光地
  • 基本的には観光客がメイン顧客層となる
  • 観光客向けか地域住民に向けた店舗かをコンセプトに合わせて検討する必要ある
  • 観光客メインであれば、マグネットポイントである観光施設に向かう動線上にあることがポイント

また、出店施設の特性による区分けとしては、路面店(単独店)と施設内出店(ショッピングセンター、駅ナカ、病院、公共施設など)に大きく分けられます。路面店(単独店)の場合は、集客を独自にしなければなりませんが店舗運営に関する自由度は高くなります。
一方、施設内出店の場合には、その施設の持つ集客力に頼ることはできますが、取り扱える商品やサービス、営業時間や店舗の看板・内外装、賃貸借契約の条件などにおいて、何らかの制限を受ける可能性は高くなります。

適正商圏の診断

「適正商圏」とは、ターゲット顧客を、その店舗が吸引できる主要な地理的範囲のことであり、適正商圏は商品特性によって異なります。

一般的に、適正商圏の広さは、最寄品(一般に購入する食品等)であれば狭く、買回り品(ファッション衣料や住居商品)であれば広く、専門品として希少性が高まれば更に広くなります。飲食業態では、客単価の高いフルサービスの業態は広く、セルフサービス等で客単価の低い業態は相対的に狭くなります。また、商品特性が同じでも商品やサービスの差別化が図れていたり、より遠くの顧客までをターゲットにした販売促進を行ったりすれば適正商圏は広くなります。

適正商圏は、交通機関や道路条件等の地理的条件によっても変わります。例えば、「店舗までの途中に河川が流れていて橋を渡らなければいけない」「高速道路が通っており、遠回りをしないといけない」など、顧客と店舗の間を隔てるものがあると、それが心理的にも作用し、商圏が分断されることになります。商圏を分断する要素には次のようなものがあります。

  1. 線路
  2. 幹線道路
  3. 高速道路
  4. 河川
  5. 池・沼・湖・貯水池等
  6. 公園・ゴルフ場・駐屯地等の土地を大きく確保する施設

適正商圏は、地理的条件を考慮すると、単純に店舗からの距離で判断するのではなく、各種交通機関や車を使って顧客が何分で来店できるかを計算し、実際の来店までにかかる時間で判断することになります。
例えば、コンビニエンスストアの商圏は、一般的に半径300~500mの範囲とされていますが、実際には徒歩5分・自転車5分・車5分というような設定をしています。

市場規模を理論的に算定する

店舗が吸引しうる主要な地理的範囲(適正商圏)を設定することにより、その商圏において市場規模がどの程度あるのかを理論的に算定することができます。
理論上、市場規模は、ターゲットとなる顧客層の人口・世帯数と購買力(当該商品の支出額)の掛け算で算出できます。

市場規模 = ターゲット顧客層の人口・世帯数 × 購買力

人口・世帯数のデータは該当の区市町村が持っており、区市町村の統計や住民登録を扱う部署で見ることが可能です。多くの区市町村ではホームページにて当該資料を開示しています。
購買力は、総務省が出している家計調査年報を調べることで推計することができます。家計調査年報の1世帯当たりの品目別支出額から、事業会社の商品・サービスに属する支出を確認します。その金額のうち、当該商品やサービスに支出できる部分が購買力になります。
ただし、これらの統計情報は、数年ごとの調査のため、必ずしも最新のデータになっていないため注意してください。

3つの視点による立地の診断方法(面・線・点)

店舗コンセプトがどのような立地に適性があるか見極めることが重要です。

立地は、「商圏(面)」「動線(線)」「地点(点)」の3つ視点で診断することができます。
立地診断で大切なことは、最初から物件(点)にとらわれないことです。面→線→点の順で、マクロからミクロへと立地の空間情報を体系的に捉える必要があります。新築で賃借料も安いなど好条件な物件であったとしても、決して「面」、「線」の視点を忘れてはいけません。
また、「面・線・点」の要素は全ての基準が満たされている必要があります。3つの要素のうち基準を満たしていない要素があっても、それを別の要素でカバーすることはできません。

フランチャイズ本部の立地診断

商圏(面) 動線(線) 地点(点)
商圏の範囲(半径◯km、徒歩・自動車で◯分以内)、商圏人口(店舗に集客できる商圏範囲の人口)、来店する顧客が居住・勤務している地域の特性 店舗までの動線や方向(出店候補地への近づきやすさ、駅や施設などから店舗までの経路)、接近性(駅や施設などからの近さ、利便性)、競合店との位置関係 候補地や近隣の特性、店頭通行量(店の前をどのような人がどれ位通るのか)、視認性(店舗がはっきり認識できるか)、店舗の構造(出入口や柱、店舗設備などの位置や造り)

商圏:『面』を診断する

まずは「商圏」の診断です。商圏内に事業が成り立つための市場規模があるか、事業の性格に合ったマーケット特性を持っているかなどマクロの視点で診断します。

  • 事業が成立するだけのマーケットボリュームが存在するか
  • 事業の性格にあったマーケット特性を持っているか
チェック項目 情報の収集方法
商圏人口・世帯数及び伸び率 住民基本台帳・国勢調査
人口ターゲット比率(年齢別) 住民基本台帳・国勢調査
昼間人口 国勢調査
居住形態(持ち家・借家など) 国勢調査
所得水準 地域経済総覧(東洋経済新報社)
家計支出水準 家計調査年報
貯蓄水準 地域経済総覧(東洋経済新報社)
地元購買率 消費購買行動調査(県)
通勤通学先 国勢調査
自家用車保有率 地域経済総覧(東洋経済新報社)

動線:『線』を診断する

次に「動線」を診断します。商圏内での候補地の配置に問題がないか、動線に乗っているか、周辺に障害物はないかなどについて実地調査を行います。

  • 候補地の商圏内での配置は問題ないか
  • 候補地は商圏内の動線に沿っているか(その動線の太さは太いか)
  • 商圏内のお客様は候補地に近づきやすいか(周辺に障害物はないか)
  • 候補地と競合店の位置関係はどうなっているか
チェック項目 情報の収集方法
場所のわかりやすさ 実査・現地ヒアリング
商圏内の消費者動線の方向 地図読み取り・実査
中心(マグネット)からの店舗位置 地図読み取り・実査
動線に対して車線の面する方向(順または逆) 地図読み取り・実査
商圏分断要因(バリア)の存在 地図読み取り・実査
店前通行量(歩行者・車両)と道路の性格 実査・道路交通センサス
競合店数 電話帳・業界リスト・実査
競合店と比較した場合の立地の優位性 実査
他に競合店が出る可能性の有無 実査・現地ヒアリング

地点:『点』を診断する

最後に「地点」を診断します。物件の大きさや形状は事業に適しているか、視認性はよいか、入りやすく出やすいかなどミクロの視点で評価します。

  • 物件自体は当該事業に適用できる規格(大きさ・形)か
  • 物件自体の視認性はよいか
  • 物件自体の道路付きはよいか
チェック項目 情報の収集方法
店前障害物の有無 実査
視認性 実査
角地か一面か 実査
間口 公図・実査
地形 公図・実査
車のイン・アウトのし易さ 実査
道路との段差 実査
駐車場の確保(同一敷地に可能か) 実査

立地診断に有効なサービス

これまで商圏分析を行なうには、数十万円以上はする専用のGISソフトウェアや有料のサービスを使う必要がありました。しかし、「jSTAT MAP」という、商圏分析を行なうための無料のインターネットサービスが登場しています。このサービスは、独立行政法人統計センターが運用管理を行っている「政府統計の総合窓口(e-Stat)」にて提供されており無料で利用できます。

また、動線や地点の診断を行う場合には、googleマップの利用も有効です。位置表示や経路検索機能、ストリートビューなどが活用できます。

これらのインターネットサービスを用いることで、効率よく診断を行うことができます。また、実地ではわからない数値情報を得ることもできます。
しかし、これらのサービスに用いられているデータや、マップに掲載されている画像などは、リアルタイムにアップされているものではなく正確性を欠いたものとなります。例えば、夏になると街路樹に葉が生い茂って遠くから看板が見づらくなったり、画像で見るより駐車場の入口が狭くて入店しづらかったりする場合などです。
やはり、「現場」「現物」「現実」の三現主義が大事であり、机上だけではなく、実際に現場で現物を観察して、現実を認識した情報をもとに判断することが重要です。


参考書籍:
フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)
フランチャイズ研究会 著「よくわかる!フランチャイズ入門」(同友館)

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https://kernel-c.com/fc-analysis/feed/ 0
『フランチャイズ方式による海外展開ガイド(すぐ使える3つの契約書ひな形付)』を発刊しました https://kernel-c.com/fc-overseas-guide/ https://kernel-c.com/fc-overseas-guide/#respond Sun, 02 Aug 2020 06:02:14 +0000 https://kernel-c.com/?p=2676 私が幹事をつとめているフランチャイズ研究会にて『フランチャイズ方式による海外展開ガイド』を発刊しました。本書は、海外展開を成功させるためのメソッドを詳しく説明しています。そして、大きなリスクを伴わないフランチャイズ方式による海外展開の手法を中心に編纂されています。フランチャイズ方式なら、中小・小規模企業でも海外展開は十分に可能です。特に、複数店舗を有している中小のフランチャイズチェーンやレギュラーチェーンなら、本書を活用してすぐに海外展開の準備に着手できます。本書には、フランチャイズ方式による海外展開に欠かせない、

  1. マスターフランチャイズ契約書
  2. マルチユニット契約書
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『フランチャイズ方式による海外展開ガイド』目次をご紹介(全212ページ)

第1章|海外展開の動向

1.我が国のフランチャイズのあゆみ
2.我が国フランチャイズの現状
3.国内フランチャイズチェーンの海外展開への取り組み
4.JETROの実態調査からみた海外展開概況

第2章|フランチャイズ・ビジネスにおける海外進出の類型

1.海外進出の方法と特徴
2.海外に直営店を出店(海外支店的な位置づけ)
3.海外の事業者とフランチャイズ契約(ダイレクトフランチャイズ)
4.マスターフランチャイズ(エリアフランチャイズ)

第3章|海外展開のステップ

1.STEP1 経営戦略の方向性と課題の確認
2.STEP2 海外展開目的の明確化
3.STEP3 海外事業計画案(ラフ案)の策定
4.STEP4 国内での予備調査
5.STEP5 現地調査(現地フィージビリティー・スタディ:F/S)
6.STEP6 海外事業計画案(詳細)の作成、最終意思決定

第4章|海外展開を成功させるために

1.事前準備を十分に行う
2.パートナー選定が成功の大きな鍵
3.現地化(ローカライズ)をする
4.事実上の標準(デファクトスタンダード)となる
5.契約書で日本の法律文化は通用しない

第5章|国際交渉と異文化間コミュニケーション

1.取引先代表者との文化的マッチングのチェック項目
2.相互理解のポイント
3.信用照会(デューデリジェンス)
4.商習慣と契約内容
5.不平等契約の回避
6.異文化間コミュニケーションの重要性

第6章|海外のフランチャイズに関する法制度

1.はじめに
2.世界の法制度概観
3.中国
4.韓国
5.台湾
6.ベトナム
7.マレーシア
8.インドネシア

第7章|海外当事者との契約交渉の進め方

1.候補者の募集及び選定
2.秘密保持契約等の締結
3.法定開示書面の提示
4.契約内容の交渉

第8章|海外当事者と締結する契約書

1.はじめに
2.相手国の法制度と進出形態による契約書の違い
3.契約言語の選択
4.紛争解決条項
5.商標権の保護
6.独占権の付与
7.金銭の支払い条項について
8.商品・原材料の供給
9.商品(メニュー・サービス)等の指定
10.経営指導
11.契約期間
12.報告義務
13.秘密保持義務・競業避止義務
14.契約解除事由
15.契約終了後の措置
16.準拠法
17.契約書の作成
18.契約書のひな形

第9章|海外展開における商標の扱い

1.重要性を増す海外展開における商標の確保
2.海外展開における商標にまつわるトラブル

第10章|海外展開事例

1.重光産業株式会社
2.株式会社大戸屋ホールディングス
3.株式会社壱番屋
4.株式会社ダスキン
5.株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
6.株式会社ファミリーマート
7.株式会社ローソン
8.株式会社モスフードサービス
9.株式会社吉野家
10.株式会社麦の穂
11.株式会社丸亀製麺
12.株式会社公文教育研究会
13.海外進出状況一覧

第11章|国・地域別基本情報、進出状況

1.中国
2.タイ
3.シンガポール
4.米国
5.香港
6.ベトナム
7.インドネシア
8.台湾
9.マレーシア
10.韓国
11.フィリピン
12.オーストラリア

第12章|海外展開支援施策

1.融資・リース・保証
2.補助金・税制・出資
3.情報提供・相談
4.セミナー・研修・イベント
5.その他

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「はじめに」より抜粋

厚生労働省は、2019年6月7日、2018年の人口動態統計月報年計(概数)を発表した。 それによると、我が国の出生数は前年比2万7,668人減の91万8,397人で、1899年の調査開始以来過去最少を記録した。一人の女性が一生のうちで産む子供の人数を示す合計特殊出生率は、前年比0.01ポイント減の1.42となった。
言うまでもないが、合計特殊出生率が「2」を下回ると、理論的には遅かれ早かれ人口は減少することになる。我が国は、2006年を期に人口減少社会に突入し、以降人口は減り続けている。今から30年後の2050年には、我が国の人口は1億人を割り込むと予測されている。
仮に人口が減少しても、日本人一人一人が生み出す付加価値が増えれば豊かさは維持できるはずだが、実際には人口減少を補うだけの生産性の向上は見られないようである。つまり、我が国の国内だけで商売をしようとする事業者は、小さくなる土俵で客を奪い合うという運命から逃れられないのである。ライバルがいない未開の産業分野を見出すことができればいいのだが、経済の成熟化が進む我が国では簡単なことではないだろう。
他方、海外を見渡すと、先進国中では米国、英国、フランスの人口増加が予測されている。これらの国々は、合計特殊出生率が比較的高い水準にあるだけでなく、移民が増加していることがこの背景にある。

身近なアジア諸国に目をやると、アジア全体の成長率は低下したものの、これらの国々は概して高い経済成長を成し遂げた。所得水準が高まった国々の人口増加率は我が国同様に低下傾向にあり、我が国の後を追うように少子高齢化が進んでいる国々もある。ところが、経済成長の結果、アジア諸国の中間層人口は飛躍的に増えている。中間層とは一般に世帯の年間可処分所得が5千ドル以上、3万5千ドル未満と定義(出典:経済産業省「通商白書」)される。英国の調査会社ユーロモニターによると、アジアの中間層は2017年に6億7391万世帯となり、07年に比べ7割増えたとのことである。世帯数全体に占める中間層の割合は60%にのぼり、富裕層の9%、低所得層の30%に比べ厚みを増している。中間層の増加は、消費拡大をけん引し、家電品や自動車、日用品、外食、レジャーなどに対する消費を拡大させる。つまり、海外に目を転じれば、日本の事業者に大きなビジネスチャンスが転がっているのである。幸い、先人たちの努力により、日本の商品やサービスに対する世界各国からの評価は極めて高い。海外市場にチャレンジする価値は十分にあるだろう。

こうした環境変化を受け、JETRO(日本貿易振興機構)はサービス産業(外食、小売、教育、理美容、コンテンツ、介護・福祉など)の海外展開を積極的に支援している。とはいえ、経営資源の乏しい中小・中堅企業が海外展開を行うことは大きなリスクを伴う。

本書は、上記サービス産業が海外展開を成功させるためのメソッドを詳しく説明している。そして、大きなリスクを伴わないフランチャイズ方式による海外展開の手法を中心に編纂されている。フランチャイズ方式なら、中小・小規模企業でも海外展開は十分に可能だろう。特に、複数店舗を有している中小のフランチャイズチェーンやレギュラーチェーンなら、本書を活用してすぐに海外展開の準備に着手できるだろう。
また、本書には、フランチャイズ方式による海外展開に欠かせない、
① シングルユニットフランチャイズ契約書
② マルチユニットフランチャイズ契約書
③ マスターフランチャイズ契約書
の各サンプルを掲載している。
本書を参考にして、是非海外展開を成功させてほしい。

出典:フランチャイズ研究会(著)『フランチャイズ方式による海外展開ガイド(2020年)』

書籍内容を少しご紹介

フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド フランチャイズ方式による海外展開ガイド

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フランチャイズ契約では本部は立地診断や売上予測をしなければならないのか? https://kernel-c.com/fc-salesforecast/ https://kernel-c.com/fc-salesforecast/#respond Tue, 21 Jul 2020 14:02:41 +0000 https://kernel-c.com/?p=2648 フランチャイズ加盟者にとって出店場所の選定は、将来の業績に大きな影響をおよぼす非常に重要なことです。そのため、加盟者(希望者)は、(うまくいく)物件の紹介や、加盟者自身が選んだ物件の立地診断・売上予測など、フランチャイズ本部によるサポートを大いに期待します。
では、フランチャイズ契約において、フランチャイズ本部による立地診断や売上予測は義務なのでしょうか?

立地診断、売上予測は義務なのか? フランチャイズ契約書への掲載例

結論からお伝えすると、フランチャイズ本部だからといって、立地診断や売上予測は必ず行わなければならないものではありません。

AI(人工知能)を活用した売上予測サービスなども登場してはいますが、その精度を上げるためには、相当数(店舗数、運営年数)のデータが必要になります。しかし、これからフランチャイズ本部を始めようという企業では、分析可能な既存店が少ないケースがほとんどでしょう。
また、その店舗でうまくいくのか?売上はどれくらいになりそうか?という予測は、あくまでも将来の予測であり、経済動向・市場環境・加盟者の経営努力などによって大きく左右されるものです。
さらに、出店予定地が加盟希望者の近隣であれば、フランチャイズ本部よりも加盟店のほうが地元の情報に精通しており、より詳しい状況を把握しているケースもあります。
中小小売商業振興法やフランチャイズガイドラインにおいても、加盟希望者に対する情報開示事項には、立地診断の結果や売上予測値は含んでいません。

では、立地診断や売上予測に関して、フランチャイズ契約書には、どのように記載すべきなのでしょうか?

フランチャイズ契約書における、売上予測や立地選定に関する条文のサンプルが、「改訂版 フランチャイズ契約の実務と書式」に文例として掲載されていますので、その一部について引用させていただきました。

まずは、本部による売上予測の義務を否定する条文です。

第〇条(売上予測義務の否定)
1 フランチャイザーは、フランチャイジーに対して本件店舗及び本フランチャイズ・チェーン事業についての売上、経費、収益、損益等に関する予測値ないし予測値を提供する義務を追うものではなく、本件店舗の事業計画を作成する義務を負わない。フランチャイジーは、自己の判断と責任で本件店舗及び自ら営む事業の事業計画を作成しなければならない。

出典:神田孝(著)「改訂版 フランチャイズ契約の実務と書式(三協法規出版:2018年)」P355

第1項に、フランチャイズ本部(フランチャイザー)は予測を行わないこと、加盟者(フランチャイジー)は、自らの責任で、その店舗に事業計画を作成しなければならないことを記載しています。

次に、店舗の立地選定に関する条文です。

第〇条(店舗の立地選定)
1 フランチャイジーは、本件店舗の条件及び所在地の周辺環境等を調査し、自らの判断と責任で、自身が出店する商圏及び本件店舗所在地を選定し決定するものとする。

出典:神田孝(著)「改訂版 フランチャイズ契約の実務と書式(三協法規出版:2018年)」P355

加盟者(フランチャイジー)は、自らの責任と判断で店舗を選定・決定したものであることを記載しています。また、その他の条項では、開業後の業績は、経済動向・市場環境・加盟者の経営努力などによって大きく左右されるものであり、フランチャイズ本部は、その店舗の売り上げは保証しない、ということが記載されていました。

このように、フランチャイズ本部としては、その責任を回避するために、売上予測や売上保証はしないことをフランチャイズ契約書に記載します。
しかし、一般的には加盟希望者に対してモデル損益や収支シミュレーションなどを提示します。それは当たり前のことで、どれくらい儲かる事業なのかもわからずにフランチャイズ加盟する希望者はいません。また、前述したように、加盟者は開業にあたりフランチャイズ本部による立地診断や売上予測、物件紹介などのサポートを期待します。
フランチャイズ契約書に、本部の責任を回避するような条文を書いたところで、加盟者とのトラブルを完全に防げるわけではありませんし、実際の運営上、モデル損益や立地診断結果の内容やその提示方法に問題があれば、独占禁止法の違反行為(ぎまん的顧客誘引)にあたる可能性も出てきます。

フランチャイズガイドラインでは、

予想売上げ又は予想収益の額を提示する場合、その額の算定根拠又は算定方法が合理性を欠くものでないか。また、実際には達成できない額又は達成困難である額を予想額として示していないか。

としています。そのため、モデル損益や立地診断結果の基礎データとして根拠のある資料が必要になります。

フランチャイズ本部による立地診断や予測で適法とされる条件とは

モデル損益や立地診断結果には、その算出過程や根拠となる数値に客観性合理性正確性を持たせることが必要です。また、加盟希望者には具体的な調査方法や調査日時、時間帯などの調査状況についても説明します。
客観性、合理性、正確性を欠くような不適切な例としては、次のようなものがあります。

客観性を欠く事例

商圏人口を算出する際には、通常は自治体等の人口統計の数値を用いることになります。例えば、出店予定地の近くでマンション建設計画などがあった場合、この人口統計数値にマンション建設によって予測される居住者数を上乗せした人口を商圏人口として算定してしまうと、客観性を欠く情報となります。まだ建設計画の段階にあるマンションの入居者数は確定したものではなく、結果的には意図的に商圏人口を増加させたことになり、さも売上規模があるかのように加盟希望者を錯覚させかねません。
このような場合には、人口統計の数値を示したうえで、マンションの建設計画があること、マンションの総戸数などについて、不動産屋等が公表している内容を、客観的な情報として、そのまま伝えるという対応が必要です。

合理性を欠く事例

業態による違いはありますが、店前の通行量は、店舗の業績に影響を与える重要な情報となります。例えば、1日(24時間)の通行量を算定する場合に、通行量調査を1時間だけ行い単純に×24したものを1日の通行量と推定することは、非常に合理性を欠いたものとなります。時間帯によって通行量が違うことは容易に想像できますし、平日と休日、天候による違いなども想定できます。
このような場合には、曜日別、天候別、時間帯別など条件を変えて通行量を測定した結果を示すのがベストです。ただ、実際には全条件を網羅的に行うことは難しいでしょう。可能な範囲で複数条件での調査をしたうえで、実際に通行量を測定した日時や時間帯などの調査情報を一緒に提示するというのが現実的でしょう。

正確性を欠く事例

店舗の視認性や駐車場への入りやすさなどは、店前を通る顧客が店舗に入るかどうかを決める重要な要素となります。今は、Google マップなどを用いることで、店舗の周辺状況を確認することができます。しかし、マップに掲載されている画像は、リアルタイムにアップされているものではなく正確性を欠いたものとなります。夏になると街路樹に葉が生い茂り、遠くから看板が見づらくなったり、画像で見るより駐車場の入口が狭くて入店しづらい場合などがあります。
やはり、「現場」「現物」「現実」の三現主義が大事であり、机上ではなく、実際に現場で現物を観察して、現実を認識した情報をもとに判断する必要があります。

フランチャイズ本部による店舗物件の開発、加盟者への紹介

プロトタイプ店舗ができ上がり、フランチャイズ本部を立ち上げ、出店エリアが決まると、物件開発が重要になってきます。いくらフランチャイズ加盟者を募集し、順調に希望者が増えてきたとしても、実際に出店できる物件がなければ開業には至りません。加盟希望者が店舗物件を見つけてくることができればよいのですが、そう簡単に見つけることはできません。立地診断の結果、採算が合わなければ、いつまでも開業できない(フランチャイズ契約を締結できない)ことになります。そこで、フランチャイズ本部自らが物件開発を進めることも必要になります。

フランチャイズ本部が加盟希望者に物件を紹介するときの注意点としては、「フランチャイズ本部は、あくまでも物件紹介をするだけであり、物件の選定と最終的な意思決定は加盟希望者にある」というスタンスをつらぬくことです(フランチャイズ契約書もそのような記載とする事が前提)。

それでも、加盟希望者はフランチャイズ本部による見立てを聞いてきます。そのとき、フランチャイズ契約を進めたいからといって、「これなら絶対成功できますよ」「月に300万円の売上は固いですね」などいった、過剰なセールストークをしてはいけません。フランチャイズ本部の発言や説明によって誤解させるようなことがあれば、うまくいかなかった場合のトラブルは避けられないでしょう。また、フランチャイズ本部が加盟希望者に対して、特定の物件を強要すると本部の責任が問われることもありますので注意が必要です。

では、どの程度までのトークであれば大丈夫なのか?ということになりますが、「いい物件ですね」「直営店であれば出店すると思います」といった、多少のセールストークは問題ありません。これくらいであれば売上予測をしたことにはならないでしょう。ここでも、客観性、合理性、正確性を欠いたことを伝えていないか?ということが一つの基準になります。

最終的な意思決定は加盟希望者が行うものではありますが、フランチャイズ本部としては、加盟希望者が正しい判断ができるよう客観性、合理性、正確性のある情報を提供することが大事です。

フランチャイズ本部による立地診断方法の整備

アーリーステージの企業で、出店数が少ない場合には、これまでのデータの蓄積が少ないため十分な立地診断や、売上予測ができないことが一般的です。そのため、新店の立地評価などはフランチャイズ本部の経験則で行うケースがほとんどとなります。
加盟希望者に対して、立地診断結果などを提示する場合、フランチャイズ本部としては、

  • データの蓄積が少ないこと
  • 類似する条件の店舗が無いこと
  • フランチャイズ本部所有のデータでは正確な売上予測が困難であること

などの実情を加盟希望者に伝えてください。
また、十分なデータがない場合には、出店候補地と類似の条件の店舗を例示することは困難なため、なるべく近い条件の直営店の実績や、全店舗の平均値などの数値を提示します。ここでも注意点があります。このような情報は、フランチャイズ本部にとっての重要な秘密情報に当たりますし、数字は独り歩きしやすいので、決して紙媒体や電子データなどで渡すことはせず、その場で回収するなり、PCなどの画面で見せる程度とするようにしましょう。

ただ、フランチャイズ本部としては、いつまでもそのような方法に頼っているわけには行きません。直営店、フランチャイズ加盟店の増加に伴って、データに裏付けされた立地基準を整備していく必要があります。
立地基準の設定方法や売上予測については、また別のコラムで触れたいと思いますが、立地診断の3つの視点「商圏(面)」「動線(線)」「地点(点)」についてだけ簡単に紹介しておきます。

フランチャイズ本部の立地診断

商圏(面) 動線(線) 地点(点)
商圏の範囲(半径◯km、徒歩・自動車で◯分以内)、商圏人口(店舗に集客できる商圏範囲の人口)、来店する顧客が居住・勤務している地域の特性 店舗までの動線や方向(出店候補地への近づきやすさ、駅や施設などから店舗までの経路)、接近性(駅や施設などからの近さ、利便性)、競合店との位置関係 候補地や近隣の特性、店頭通行量(店の前をどのような人がどれ位通るのか)、視認性(店舗がはっきり認識できるか)、店舗の構造(出入口や柱、店舗設備などの位置や造り)

参考書籍:フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)

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フランチャイズ契約書の作成 ~丸投げはトラブルの原因になります~ https://kernel-c.com/fc-agreement/ https://kernel-c.com/fc-agreement/#respond Sat, 04 Jul 2020 10:55:16 +0000 https://kernel-c.com/?p=2271 時々、他社のフランチャイズ契約書やネット上にアップされているひな形を少し変えただけで対応している本部が見受けられますが、そこに書かれていることが、自社の実態にあっていないとフランチャイズ契約書としての拘束力が弱まります(例えば、「・・・は○○マニュアルに従う」と記述があるのに〇〇マニュアルが用意されていないなど)。
加盟者(希望者)は、フランチャイズ契約書の内容と実態との乖離にすぐ気づきます。契約したあとになって「言っていたことと違う」「フランチャイズ契約書の内容と違う」と、加盟者とのトラブルの原因になるので注意が必要です。また、本部の利益ばかりを考えてはならず、一方で、本部を守る手段が網羅されている必要もあります。

フランチャイズ契約書の作成

フランチャイズ契約書には、加盟時に支払う加盟金、保証金、開業研修費、継続的に支払うロイヤルティ、システム使用料、共通広告費、などの金銭面を含め、本部と加盟者間の権利・義務関係を体系的・包括的に定める必要があります。

フランチャイズ契約における権利と義務

フランチャイズ本部と加盟者間の権利・義務関係の概略を説明すると、

  1. フランチャイズ本部は、加盟者に対して、フランチャイズパッケージを提供する義務があり
  2. 加盟者は、そのフランチャイズパッケージを使用する権利があり
  3. 加盟者は、フランチャイズパッケージの対価として、フランチャイズ本部に対して加盟金やロイヤルティを支払う義務がある
  4. フランチャイズ本部は、チェーン全体の水準や統一性を保つために、加盟者に対して店舗運営等について一定の指示、指導を行う権利があり
  5. 加盟者は、その指示、指導に従う義務がある

ということになりますが、実際には開業準備フェーズ~運営フェーズ~フランチャイズ契約の終了フェーズという流れの中で、様々な権利と義務が入り組んでいます。
主なものを以下の表にまとめました。

本部の権利と義務 加盟者の権利と義務
1.開業準備フェーズ
(1)営業権の付与 フランチャイズシステムを利用して事業運営を行う権利
(2)開業に伴う商標の使用許諾 商標の利用(開業に向けた人材募集、販促活動など)
(3)ノウハウの提供
・立地の選定(立地基準書の提示)、収支シミュレーションの実施
・店舗内外の設計(設計基準書の提示)
・フランチャイズマニュアルの貸与
・開業前研修
・開業時準備事項の提示(スケジュール表、仕入れ品一覧)
立地選定、店舗確保
ノウハウの利用
(4)開業支援
・店舗設計、施工会社の紹介
・店舗内の商品陳列支援
・店舗オープン前後でのサポート
円滑な開業に向けた支援を受ける
>>権利>>
・イニシャルフィーの受け取り
・開業準備状況の確認(準備中店舗への立ち入り検査)
・開業準備が不十分であった場合の開業の不許可
<<義務<<
・イニシャルフィーの支払い(加盟金、開業前研修費、開業準備費、システム導入費)
・加盟保証金の預託
・本部の基準に沿った開業の準備(店舗内外装、人材確保・教育等)
2.店舗運営フェーズ
(1)商標の継続的利用の許諾 商標の継続的な利用(看板、チラシ、メニュー表)
(2)商品、原材料の供給、仕入れ業者の推薦 商品、原材料の仕入れ
(3)各種事務(仕入れ、決済等)の代行 面倒な事務作業のアウトソーシング
(4)新規/季節ごとの商品、サービスの継続的開発 競争力のある商品、サービスの販売
(5)情報システムの提供 情報システムを活用した効果的、効率的な経営
(6)継続的な経営指導(SV派遣、KPI管理、情報提供等) 安定的経営に向けた支援を受ける
(7)チェーン全体の宣伝広告 ブランド力の活用
>>権利>>
・ランニングフィーの受け取り
・商品購入代金(仕入れ業者からのマージン)の受け取り
・加盟者の運営状況の監視、適正運営に向けた指導
・チェーン全体の宣伝広告に向けた加盟店情報の利用
<<義務<<
・ランニングフィーの支払い
・商品等にかかる代金の支払い
・商品やサービスの提供条件(メニュー、調理方法、価格等)の遵守
・商品等の購入条件(仕入先等)の遵守
・商標の使用条件の遵守(不正な利用の禁止)
・営業秘密保持義務の遵守
・競業避止義務の遵守
3.フランチャイズ契約終了フェーズ
(1)加盟保証金の精算後の返金
>>権利>>
・加盟店が経営終了後の適正な対応を行わなかった場合の強制対応
・食材、機器、什器、備品等の買取
・一定条件における本部による無催告解除
・違約金の請求
<<義務<<
・本部に対する全ての債務の弁済
・営業の中止
・商標の使用中止
・看板撤去等チェーンから離脱したことが分かるように対応
・マニュアルの返還、その他本部から貸与された物品の返還
・契約終了後の競業避止義務(一定期間、一定エリア等)

フランチャイズ契約書に記載すべき事項と作成作業

フランチャイズ契約書の作成では、ビジネスモデル、フランチャイズパッケージの内容をフランチャイズ契約書に落とし込んでいく作業が必要であり、フランチャイズ本部となる企業の理念、ビジョン、事業コンセプト、ビジネスモデル等に合わせ、個別具体的に進める必要があります。
フランチャイズ契約書を作成する前準備としても「コンセプトワーク」は重要です。

フランチャイズ契約書は、加盟して契約が終了するまでの一連の流れに沿って作成していくと分かりやすく、抜け漏れがなくなります。ビジネスモデルの特徴から始まって、フランチャイズ本部と加盟者の基本的な権利・義務の確認、重要な金銭関連の規定、開業準備と許可、店舗の運営方法、経営指導・研修、禁止事項と違約金、契約期間・終了、一般的事項というイメージです。次表にフランチャイズ契約書に記載すべき主な内容をまとめました。

カテゴリー 記載事項
基本事項 フランチャイズ本部が開発した事業の優位性
契約締結手順の正当性
契約書で扱う用語の定義
権利・義務・禁止事項 フランチャイズ(権利)の付与
本部の基本義務
契約当事者の独立性
本部による売上予測義/売上保証の有無
テリトリー権の有無
標章等の適正使用義務
秘密保持義務
競業避止義務(契約中、契約終了後)
個人情報の適正管理義務
権利の譲渡
本部へ支払う金銭
(金額、計算方法、対価)
加盟時(加盟金、保証金、開業前研修費など)
定期的(ロイヤルティ、システム利用料、公告分担金など)
開店準備 店舗の立地選定、移転、新設
店舗設計・施工
開業前研修(受講人数、日数、内容等)
開店日前後の実地指導
導入するITシステム、指定設備、消耗品等
許認可届出
保険加入
店舗運営 従業員の雇用、教育、管理
仕入れ、発注・検品、管理
販売品目、価格、提供方法
宣伝広告活動
店舗、設備の管理
営業日(休業日)、営業時間
報告義務
経営指導、開業後研修 マニュアルの貸与
SVによる経営指導(内容、方法、回数)
開業後研修、店長会議、オーナー会
契約期間、契約の終了 契約期間、更新手続き
中途解約
契約解除
契約終了後の措置(貸与物の返還、看板撤去)
一般的契約事項 決済方法
損害賠償、遅延損害金
連帯保証人
裁判管轄

フランチャイズ契約書を作成するとき、本部の利益ばかりを考えているようではチェーンは成り立ちません。加盟者にとっての加盟すること・加盟し続けることのメリットがあるように考える必要があります。
その一方で、本部を守る手段が網羅されているように作成することも大事です。本部としては加盟前後の十分な説明と理論武装が必要となります。「本部を守り過ぎると独占禁止法に反するのではないか?」と心配する人がいますが、本部がチェーン全体をコントロールする力を十分に持っていなければ、秩序が保てずチェーンとして成り立ちませんし、その結果として、加盟者の利益も維持できません。
ただし、そのためには、加盟者との良好な関係があり、加盟者の理解を得られていることが前提となります。そして、契約書に書いてあるからと言って、一方的な押し付けをするだけではチェーンは破綻します。契約書が全てではありません。日ごろの加盟店との関係が大事です。SVによる加盟者との適切なコミュニケーション、加盟者の声を吸い上げる制度(加盟店オーナー会の運営など)の構築とセットで考えてください。

フランチャイズ契約書の作成は弁護士に任せれば良いと考える企業もありますが、基本的に弁護士はビジネスのプロではありません。そのため、依頼する場合には、どのようなビジネスをやろうとしており、加盟者とどのような約束事をしておきたいのかなど、ビジネスモデルの全体像を細かく説明し、その上で、法的にも問題ない形で契約書を作ってもらうことになります(自社のビジネスに精通している顧問弁護士であれば別ですが)。
依頼する際には、自社のビジネスに対して理解を深めようとしてくれて、相談しやすく、企業法務に強い弁護士を探しましょう。また、日本にはフランチャイズの規制を直接の目的とした法律はなく、本部と加盟者の間で起きる訴訟問題は、関連する法律(民法、小振法、独占禁止法など)や過去の判例がもとになります。弁護士へ依頼する場合には、この判例を熟知している弁護士がベストです(非常に少ないですが)。

法定開示書面(情報開示書面)

中小小売商業振興法では、小売業、飲食業のフランチャイズ本部に対して法定開示書面(情報開示書面)の準備と交付を義務付けています。また、フランチャイズ・ガイドラインはサービス業のフランチャイズも含めて、全てのフランチャイズ本部に情報開示を求めています。

法定開示書面の作成にあたっては、日本フランチャイズチェーン協会が運営する「JFAフランチャイズガイド」が参考になります。法定開示書面の作成ガイドラインとサンプルが「JFA開示自主基準について」に掲載されています。また、日本フランチャイズチェーン協会の正会員を中心とした法定開示書面(情報開示書面)が「情報開示書面」に掲載されていますので参考にして下さい。

法定開示書面(情報開示書面)の目 次
フランチャイズ契約のご案内
○○○○への加盟を希望される方へ
第Ⅰ部 ○○○○社と□□□□システムについて
1.わが社の経営理念
2.本部の概要
社名・所在地・資本金・設立・事業内容・他に行っている事業の種類・事業の開始・主要株主・主要取引銀行・従業員数
本部の子会社の名称および事業の種類・所属団体・沿革
3.会社組織図
4.役員一覧
5.直近3事業年度の貸借対照表および損益計算書
6.売上・出店状況(直営店・加盟店別)
7.加盟者の店舗に関する事項
・直近 3 事業年度
・直近 3 事業年度の各事業年度内に解除された契約に係る店舗数の各事業年度内に新規に営業を開始した加盟者の店舗数
・直近 3 事業年度の各事業年度内に更新された契約に係る加盟者の店舗数および更新されなかった契約に係る加盟者の店舗数
8.訴訟件数
第Ⅱ部 フランチャイズ契約の要点
1.契約の名称など
2.売上・収益予測についての説明
3.加盟に際しお支払いいただく金銭に関する事項
①金銭の額または算定方法 ②性質
③お支払いの時期 ④お支払いの方法
⑤当該金銭の返還の有無および条件
4.オープンアカウント、売上金などの送金
5.オープンアカウント、金銭の貸付・貸付のあっせんなどの与信利率
6.加盟者に対する商品の販売条件に関する事項
①加盟者に販売またはあっせんする商品の種類
②商品などの供給条件  ③配送日・時間・回数に関する事項
④仕入先の推奨制度      ⑤発注方法
⑥売買代金の決済方法  ⑦返品
⑧在庫管理など             ⑨販売方法
⑩商品の販売価格について
⑪許認可を要する商品の販売について
7.経営の指導に関する事項
①加盟に際しての研修など実施の有無
②加盟に際し行われる研修の内容
③加盟店に対する継続的な経営指導の方法およびその実施回数
8.使用させる商標・商号・その他の表示に関する事項
①当該使用させる商標、商号その他の表示
②当該表示の使用についての条件
9.契約期間、契約の更新および契約解除に関する事項
①契約期間
②更新の条件および手続き
③解除の要件および手続き
④契約解除の損害賠償金の額または算定方法その他義務の内容
10.加盟者が定期的に支払う金銭に関する事項
①お支払いいただく金銭の額または算定方法
②金銭の性質
③支払い時期
④支払い方法
11.店舗の営業時間・営業日・休業日
12.テリトリー権の有無
13.競業禁止義務有無
14.守秘義務の有無
15.店舗の構造と内外装についての特別義務
16.契約違反をした場合の違約金、その他の義務に関する事項
など
17.事業活動上の損失に対する補償の有無内容など
後記1.「フランチャイズ契約締結のためのチェックリスト」
説明確認書
後記2.中小企業庁パンフレット
後記3.中小小売商業振興法、中小小売商業振興法施行規則
後記4.フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の
考え方について

日本フランチャイズチェーン協会「JFA開示自主基準について」(法定開示書面サンプル)より編集

フランチャイズ契約に関連するその他の書類の準備

実は、フランチャイズ契約書、法定開示書面(情報開示書面)を準備して終わりではありません。
↓のコラムで、「フロー設計によってフランチャイズ契約書以外の書類も準備してく必要があることがわかる」と解説しました。

フランチャイズ契約書、法定開示書面(情報開示書面)以外に必要な書類として、以下のようなものが挙げられます。

  • フランチャイズ加盟申込(エントリー)書
  • エントリー契約書
  • 反社会的勢力確約書
  • 加盟申込金支払い覚書
  • フランチャイズ契約書預り証
  • フランチャイズマニュアル受領書
  • 研修受講要項
  • 研修受講誓約書(秘密情報保持契約)
  • 立地・物件選定基準書
  • 外装・内装基準書 など

これ以外にも、フランチャイズ契約書の中で記述している書類(マニュアル、規定書など)があれば、それらの準備もしてください。


以上、フランチャイズ契約書の作成について解説しました。
フランチャイズ契約書には何を記述すべきか、よくわからない方がほとんどだと思います。だからといって、他社の契約書やネット上にアップされているフォーマットをちょっとだけ変えて使うということだけは避けましょう。本部構築の準備は自社でやるとしても、フランチャイズ契約書の作成については、必ずフランチャイズビジネスに精通した専門家へ依頼するようにしてください。その後に起こるトラブル対応にかかる手間やコストに比べれば安いものです。

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話題のステルスFCとは?実は奥が深い!!フランチャイズ展開のパターン https://kernel-c.com/fc_pattern/ https://kernel-c.com/fc_pattern/#respond Mon, 22 Jun 2020 02:31:37 +0000 https://kernel-c.com/?p=2402 日経MJやがっちりマンデーなどで「ステルスFC(フランチャイズ)」なるビジネスモデルが紹介されました。ステルスFCとはいったい何でしょう?

最近話題のステルスFCとは?

日経MJ紙(2019/10/4|P1、P13)にて、フランチャイズとしての機能を一部持ちながらも、屋号やメニューについて加盟店の自由度をある程度認め、各オーナーのやる気を促す仕組みとして「ステルスFC(フランチャイズ)」なるビジネスモデルが紹介されました。
横浜家系ラーメンのギフト社をはじめとして、いくつかの企業の事例が紹介されており、フランチャイズでありながらも、

  • 決められた屋号でなく自由に店舗名を決められる
  • メニューや店舗内外装は、ある程度自由に決められる
  • 加盟金・ロイヤルティがゼロ(または安価)
  • 原材料の仕入れは本部から行う

といった特徴について説明されていました。

通常のフランチャイズと異なり統一した看板を掲げないため、顧客からは一見してチェーンとは見られないことから、ステルス(=こっそりとする)フランチャイズという意味で名づけられたものと思われます。
フランチャイズ業界では、コンビニエンスストアなどを中心に、加盟店の自由度がないなどと問題が起きていることから、このようなビジネスモデルが注目されたのでしょう。加盟店に対して「自由度が与えられるフランチャイズ」というのは、確かに新しいビジネスモデルのように感じるかもしれませんが、実は以前から食材業者等が展開していてきたモデルであり、「フリーネーム」「フリーブランド」などという名称でフランチャイズ展開している例も多数あります。私がご支援した焼き鳥チェーンでもこの形で60店舗以上展開している本部があります。
前述したように、一見、チェーン店に見られないことから、世の中一般からは気づかれにくいものだったと思います。それがここへきて、フランチャイズ業界(コンビニエンスストア)において、加盟店と本部とのトラブルが目立つようになったため、マスコミによって取り上げられるようになったのでしょう。

ビジネスの実態としてフランチャイズではないため、中小小売商業振興法による情報開示書面の提示が不要になるケースが多いと思われます。一方、競業禁止の法的根拠が希薄になったり、食材取引を打ち切られたりするリスクがあり、本部としては注意が必要です。

実は複数あるフランチャイズの展開パターン

社会構造や政治・経済、市場環境の変化に伴い、昨今では、様々なタイプのフランチャイズビジネスが展開されています。
例えば、

  • 商材や商売のやり方は揃えるが、店舗名や商標は統一しない
  • 看板は統一するが経営のやり方には自由度がある
  • 加盟金を徴収し店舗オープン支援まで行うが、その後の指導はない(ロイヤルティなし)

などがあります。
フランチャイズビジネスでは、フランチャイズパッケージとして、

  1. 商標の継続的使用の許可
  2. 経営ノウハウの提供
  3. 継続的な経営・運営指導
  4. 差別化された製品の供給

の4つを加盟店へ提供しますが、これらのすべてを提供するのか?一部だけを提供するか?によって展開パターンが変わります。

フランチャイズパッケージ

フランチャイズの展開パターンの例
パターン 概要
フルパッケージ型
ビジネスフォーマット型
定義どおりのフランチャイズの類型。
決まったパッケージのもとで、本部からは開業から運営まで継続的に支援・指導を実施する。加盟対象者は、全くの未経験者やコストをかけてでも最短で成功するための支援を受けたい方(企業)である。トータルで支援するため、加盟金、ロイヤルティは高めの設定となる。
開業請負型 「開業プロデュース」「開業支援コンサルティング」「パッケージライセンス契約」などという呼び方で展開されているケースがある。
加盟金相当の対価としてプロデュース料やコンサルティング料などを初期費用として徴収する。開業までの支援を重点的に行うため、基本的にロイヤルティは無料か少額となる。継続的な経営指導を行うケースはほぼない。そのため、加盟対象者とは、同じ業界・業種の運営に対する経験が十分にある方(企業)となる。未経験者(企業)の場合、フルパッケージ型と思って加盟してくると、本部との間でトラブルになることも多く注意が必要。本部としては、継続的な経営指導を行わないのであれば、加盟店のターゲットを”同業界・近い業界で十分に経験を積んだ法人”とした方がよい。
商材提供型 本部が製品の販売量を拡大するために展開する類型。
仕入れは本部や本部指定業者に限られるケースが多い。看板は自由で、本部からの支援は、商品の販売に限定されている場合が多く、経営面の支援は行わないケースも多い。100円ショップ、雑貨販売、アパレル販売などのフランチャイズがこの類型に属する。
前述の「開業請負型」と、この「商材提供型」を組み合わせた「ステルスFC(フランチャイズ)」「フリーネーム型FC(フランチャイズ)」と呼ばれる形もある。
のれん分け型
社員独立型
一旦勤務をし、一定の能力が認定されたのちに独立する類型。
時間をかけて教育を行うことで、独立希望者の資質や本部との相性を確認することができる。独立希望者の資質によっては独立を認めないこともある。最近では、一定期間、給与を支払いながら業務を体験させて、加盟希望者が独立可能かどうか見極めた上でフランチャイズ契約を交わす、インターンシップのような仕組みを採用するチェーンも増えている。

この他、「フランチャイズ」という名称を使わずにチェーン展開をしている例などもあります。しかし、フランチャイズビジネスかどうかは実体で判断されます。商標の使用や、経営に対する指示・指導、それに対する対価の受領などについて、一定の要件を満たす場合、フランチャイズビジネスと同様の法的制約を受けることがありますので注意が必要です。

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フランチャイズ本部構築のための設計を行う ~フランチャイズ契約書の設計書にもなります~ https://kernel-c.com/fc_conceptwork/ https://kernel-c.com/fc_conceptwork/#respond Sat, 13 Jun 2020 03:27:26 +0000 https://kernel-c.com/?p=2273 以前のコラムで、プロトタイプモデルの確立について解説しましたが、今回は、これを具体的に進めるための「コンセプトワーク」について解説します。

コンセプトワークとは?

コンセプトワークとは、あるアイデアを具体的な形にしていくことであり、コンセプト(概念)を言葉で明確に表現する作業のことです。設計図がなければ家が建てられないのと同様に、FC本部構築にあたってコンセプトワーク(=設計図作成)は必要不可欠なプロセスです。
FC本部構築のためのコンセプトワークは、「業態=プロトタイプ店」と「FC本部」の2つについて行います。

コンセプトワーク【業態編】

FC展開をするためには、直営1号店の成功は絶対条件です。そして、この1号店がなぜ成功したのか?その検証作業が最も重要です。成功要因は何かを具体的に抽出し、それを横展開できるようにすることで、2店舗目、3店舗目、そしてFC加盟店の展開へとつながっていきます。

コンセプトワークでは、上記のようなコンセプトシートを用いて、成功要因を項目ごとにまとめます。各項目は関連するので、行ったり来たりしながら検討を進めることになりますが、まずは、「事業理念・将来ビジョン」、「一言でいうとどんな事業か(=事業コンセプト)」、「外部環境・競合」をまとめるところからスタートします。

これらをインプットとして、

  • 【誰に】「ターゲット顧客」、「顧客のニーズ」
  • 【何を】「商品・サービス」、「価格」
  • 【どうやって】「施設要件・外装・内装」、「立地条件」、「販売促進方法」、「店舗の人員体制」

と具体的に落とし込んでいきます。

そして、これらの結果から、この事業の優位性はどういうところにあるのか「ブラックボックス」、「収益性」という観点からまとめていきます。この事業の優位性があるからこそ、FC展開が可能になるのです。これが、今後のFC展開の原型となるプロトタイプとなります。

コンセプトワーク【FC本部編】

次に、FC本部のコンセプトワークを行います。

多くの店舗が統一した活動を行うようにするためには、多店舗展開における理念やビジョン(何のためのFC本部展開か)をしっかりと構築しておくことが必要です。フランチャイズ研究会による調査では、成功している加盟店ほど、本部の経営理念やビジョンに賛同していたという結果が出ています。

そして、業態編と同様に

  • 【誰に】「加盟店開発ターゲット」、「目標オーナー数・店舗数」
  • 【何を】「FCパッケージ」、「加盟条件」
  • 【どうやって】「加盟店開発方法」、「本部体制」、「加盟店の収益性」、「開業時初期費用」

と具体的に落とし込んでいきます。


ここで整理したコンセプトシートを元に、具体的なFC本部の構築に取り掛かっていくことになります。この内容は、この後に作成していくことになる「フランチャイズ契約書」にとって非常に重要なインプット情報となります。

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フランチャイズとは?フランチャイズビジネスで成功したい方は必読の書籍を厳選紹介します https://kernel-c.com/fc_book_recommend/ https://kernel-c.com/fc_book_recommend/#respond Sat, 16 May 2020 17:37:31 +0000 http://kernel-c.com/fc_book_recommend/ フランチャイズビジネスで成功したければ、絶対に読んでおきたい必読の書籍は多々あります。フランチャイズ本部の構築支援、加盟者の支援、ビジネスモデルの構築・実行支援などの経験から選んだ必読の書籍を厳選して紹介します。

フランチャイズビジネスの基本をおさえたい

フランチャイズビジネスとは?直営チェーンとの違いは?フランチャイズ契約ってなに?フランチャイズビジネスの基本を知るために必要な書籍を紹介します。
フランチャイズ本部を始めた企業、フランチャイズ加盟をした人でも、意外とフランチャイズビジネスの基本原則を理解していないことがあります。そのために事業が思うように進まなかったり、トラブルが発生したりという状況をよく目にします。
まずは、基本原則をしっかりとおさえておきたいところです。

よくわかる!フランチャイズ入門

日本フランチャイズチェーン協会(編)/同友館/2011年3月
執筆はフランチャイズ研究会にて全面的におこなっています。2005年に発刊した旧版を、2011年に全面リニューアルしたフランチャイズビジネスの入門書です。フランチャイズビジネスに関わる基本的事項(フランチャイズの活用方法、加盟条件、加盟ステップ)に加え、トラブルを未然に防ぐためのQ&A、フランチャイズ関連情報を収集するための知恵袋、フランチャイズ専門用語集なども掲載しています。
フランチャイズ入門

改訂版 フランチャイズ・ハンドブック 

日本フランチャイズチェーン協会(著,編)/商業界/2017年4月
コンビニをはじめとする小売業、外食産業、サービス業のフランチャイズ・ビジネスに携わる方の必携書。フランチャイズチェーンの誕生から半世紀、設立45周年を迎える日本フランチャイズチェーン協会では、本部と加盟店との相互信頼を高め、フランチャイズ・ビジネスの健全な発展を推進するために、コンプライアンスから歴史、機能役割までを1冊にまとめてあります。1982年刊、2003年刊、2012年刊に続く最新刊。

FCチェーン収支モデル比較ハンドブック改訂版

フランチャイズ研究会(著)/フランチャイズ研究会/2020年3月
フランチャイズチェーンに加盟するとどれだけ資金が必要なのか、開業後にどれだけ売上・利益がでるのか、という点は、加盟希望者にとって最大の関心事です。それは、これからフランチャイズ本部を立ち上げようと考える企業にとっても同じことと思います。本ガイドブックでは、小売業から4業態、外食業から3業態、サービス業から5業態を選び、初期投資額やモデル収支、研修制度などを業態内各社で比較しています。

 

 

 

なお、加盟金やロイヤルティの設定方法について、以下のコラムで解説しています。

フランチャイズ本部を作りたい

直営店のビジネスが上手くいっておりフランチャイズ展開をしたい。
続けて紹介する4冊「フランチャイズ本部構築ガイドブック」「飲食店「のれん分け・FC化」ハンドブック」「フランチャイズ契約の実務と書式」「フランチャイズマニュアル作成ガイドブック」を熟読し、その通りに実践すれば、わざわざお金を払ってコンサルタントに頼まなくても本部を構築することができるかもしれません。
その他、フランチャイズを拡大していく方法(海外展開、エリアフランチャイズ)、ビジネスモデルの設計方法、その実行方法、他の企業について知りたい方に向けた書籍を紹介します。

フランチャイズ本部を構築・展開する>>>

フランチャイズ本部構築ガイドブック

フランチャイズ研究会(著)/同友館/2013年3月
フランチャイズ本部を構築しようと思ったら、これは外せないでしょう。手前味噌になってしまいますが、フランチャイズ本部の構築に関して、ここまで体系的に整理してあり、かつ具体的な書籍を他には知りません。まずは、ざっと目を通して構築の全体像を把握したところで、自社の構築状況に合わせて必要なところを参考にしていくと良いと思います。
フランチャイズ本部構築

飲食店「のれん分け・FC化」ハンドブック

フランチャイズ研究会(著)/同友館/2013年3月
お店をチェーン化するための戦略の立て方から実践的なすすめ方までのすべてを掲載。直営店を増やしていくだけではない変化球的な飲食ビジネスから、従業員や知り合いへの「のれん分け」のしかた、本格的なフランチャイズ化の方法まで、飲食店の実践的な成長戦略を解説しています。なんと「のれん分け契約書」のモデル例も掲載しています。飲食店に限らず、美容室などでのれん分け制度・社員独立制度を考えている方に参考になる一冊です。
のれん分け

改訂版 フランチャイズ契約の実務と書式

神田 孝(著)/三協法規出版/2018年5月
本書籍は、フランチャイズ研究会の特別会員にもなっている神田孝弁護士によるものです。初版から7年たち待望の改訂版です。見切り販売規制の可否、リベートの取り扱い、フランチャイジー団体の労働組合性、店舗外観の保護など、フランチャイズ業界における新たな問題について最新の判例と論文を踏まえ、情報提供義務、社員独立フランチャイズ契約、エリア・フランチャイズ契約についての記述を充実させ、条項例や書式例を増やし、平成29年6月に改正された民法も反映し、大胆な記述が満載。

フランチャイズマニュアル作成ガイドブック

フランチャイズ研究会(著)/同友館/2016年3月
フランチャイズビジネスにおけるマニュアルとは、提供する商品やサービスの品質を一定のレベルに保つためのものであると同時に、フランチャイズ本部の「商品」を象徴するものです。しかし、そのマニュアルを作成するためのノウハウについて体系的に整理されているものはありませんでした。そこでフランチャイズ研究会では、2年に渡りフランチャイズマニュアルの作成方法について研究を行いノウハウを体系化しました。実際のマニュアルサンプルも掲載し、フランチャイズビジネスにおけるマニュアルの重要性、作成手順、具体的な記述方法、作成後の管理・活用方法について解説しています。
フランチャイズマニュアル

フランチャイズ方式による海外展開ガイド(出版準備中)

フランチャイズ研究会(著)/フランチャイズ研究会/2020年6月(※準備中)
最近ではフランチャイズチェーンによる海外展開の話題をよく耳にします。実際、海外展開のご相談、海外企業とのフランチャイズ契約に向けてフランチャイズマニュアルをすぐに準備したいということで、ご依頼を受けたケースも複数あります。しかし、進出するという話題がある一方で、撤退するということもよく聞きます。海外展開で成功することは容易ではなく、念入りな計画としっかりとした準備が必要です。本書では、大きなリスクを伴わないフランチャイズ方式による海外展開の手法を中心に詳しく説明しています。また、フランチャイズ方式による海外展開に欠かせない、「シングルユニットフランチャイズ契約書」「マルチユニットフランチャイズ契約書」「 マスターフランチャイズ契約書」の各サンプルを掲載しています。

フランチャイズ海外展開

エリアフランチャイズ

フランチャイズ研究会(著)/フランチャイズ研究会/2011年3月
エリアフランチャイズ制度という言葉は聞いたことがあるでしょうか?これは、フランチャイズ本部が展開スピードを高めるなどの理由から、特定の地域(エリア)で開発力を有する(と見込まれる)有力企業に対して、本部の機能を付与し、そのエリア内で加盟店開発(加盟者の募集)や加盟店支援などを代行させる制度のことです。
ところが、エリアフランチャイズの仕組は作ったもののトラブルが続発している、或いはかつてはエリアフランチャイズ制度を採用していたもののの弊害が大きいことから廃止したというチェーンが多くあります。エリアフランチャイズ制度の導入は、決して簡単ではないということを窺い知ることができます。
本書は日本で初めてのエリアフランチャイズ制度導入のための指南書です。本書は、単なる解説書ではなく、一定の規模がありいくつかの条件を満たすフランチャイズチェーンが本書を活用すれば、エリアフランチャイズ制度の導入が可能になるという水準を目標としています。
エリアフランチャイズ

 

 

 

ビジネスモデルを作り上げる>>>

ビジネスモデルジェネレーション

アレックス・オスターワルダー(著),イヴ・ピニュール(著),小山 龍介(翻訳)/翔泳社/2012年2月

本書は2012年に日本語訳の販売が開始されました。その前から、ビジネスモデルやビジネスプロセスの設計・改革に携わっていましたが、この本を見つけた時、思わず「これだ!」と言ったことを覚えています。
ただ、A4横長の装丁であったり、フォントも色々なものが使われていたり、黒の背景に白文字だったりと、デザイン的にぱっと見は良いのですが、正直言って読みづらいのが難点です。中身としても説明不足な部分があったりはしますが、こういうものは、自分でいかに消化して自身のものにしていくかというところでしょう。ビジネスモデルの分析・設計・改革を行う人にとっては必須の書籍です。

コラム↓に、何度も登場している「ビジネスモデルキャンバス」は、本書の中に登場します。




異業種に学ぶビジネスモデル

山田英夫(著)/日本経済新聞出版社 /2014年11月
ある業界だけに属していると、近視眼的になり、新たな目、他者の目を持つことが難しくなります。ビジネスの現場においては複数の眼を持つことの重要性が挙げられますが、そう簡単にはいきません。
本書は、ゼロからビジネスモデルを設計するのではなく、その名の通り「異業種」から学ぼう・移植しようというものです。異業種から移植して成功した事例、異業種のビジネスモデルを見る視点、事例を抽象化し異業種へ移植する方法のヒントも示されています。文庫本サイズで扱いやすく、よくバックに忍ばせておいて、ビジネスモデルを考えるときのヒントに使っています。

ビジネスを実行する>>>

リーン・スタートアップ

エリック・リース(著),伊藤穣一(MITメディアラボ所長)(解説),井口耕二(翻訳)/日経BP社/2012年11月
リーンスタートアップという言葉は有名だと思います。ビジネスモデルジェネレーションが上陸した時と、ほぼ同じタイミングで日本に来ているのですが、実はその時すぐには手に取りませんでした。”これはベンチャー企業”のものという印象が強く、当時、大企業の改革をお手伝いしていたこともあり、実際に読むことになるのは、ずっと後のことでした(いつだったかは忘れました)。しかし、時代は変わりました。企業の規模に関係なくビジネスモデルの変革スピードは、どんどん上がっています。本書に登場する「構築‐計測‐学習」というフィードバックループを通して、顧客も製品・サービスも生みだし育てるという考え方は、まさしく今の日本に必要であり、それはフランチャイズビジネスにおいても同じことだと思っています。

Running Lean -実践リーンスタートアップ –

アッシュ・マウリャ(著),渡辺千賀(解説),エリック・リース(編集),角征典(翻訳)/オライリージャパン/2012年12月
一言で言えば、前述した「リーンスタートアップ」の実践ガイドブックといったところでしょうか。「リーンスタートアップ」は400ページ以上にもおよびますし「読んだけど、いざ実践となるとどうすれ良いのか分からない」という状況になりがちです。本書には、「リーンキャンバス」という「ビジネスモデル・キャンバス」に手を加えたものが登場します。リーンキャンバスを作成するところからスタートし、これを軸に実践的な手順が説明されていきます。
注意すべき点は「リーンスタートアップ」で使われていた用語については、本書では解説がされていないことです。400ページは大変かもしれませんが、まずは「リーンスタートアップ」を読んでから本書を進めることをオススメします。

これら「リーンスタートアップ」のの考え方をフランチャイズ本部の立ち上げに取り入れたものが「フランチャイズトライアル契約」というものです。以下のコラムで解説しています。

他の企業を参考にする>>>

セブン-イレブン終わりなき革新

田中陽(著)/日本経済新聞出版社/2012年7月
今日のセブン-イレブンは、日本を代表するグローバル企業にまで発展しています。コンビニエンスストアのビジネスモデルは、通常のフランチャイズのビジネスモデルとは異なっており、その契約内容も少し特殊といえます。しかし、フランチャイズビジネスに関わろうとするとき、セブン-イレブンから学ぶべきことは多いと思います。
本書は流通記者による書き下ろしで、創業時のエピソード、フランチャイズの指導現場、セブン銀行の独自戦略、PB商品開発の最前線、ATMの進化や省エネ事情など、その裏側が書かれています。読み進めていくと、セブン-イレブンの側に立って書かれているように感じさせられ、もう少し中立的な立場での意見も求めたい気持ちにもさせられますが、その分を割り引いても、参考になる情報源だと思います。ただ、出版されてから、やや時間が経過していますので、その点は注意が必要です。

ダントツ経営

坂根正弘(著)/日本経済新聞出版社/2011年4月
建機メーカーであるコマツの相談役(元社長)の著書です。フランチャイズビジネスではありませんが参考になります。文字が大きく、文章もやわらくて読みやすいので、一気に読めると思います。坂根氏が社長に就任してからは、経営改革を断行し一気にV字回復をさせています。新興国におけるビジネスモデルを転換することに成功し、その後、先進国においても成功をしており、いわゆる「リバース・イノベーション」を成功させています。
新たに『ダントツの強みを磨け ―私の履歴書』が出ています。これには最近のスマートコンストラクションのことも書かれていますので、合わせて読まれることをオススメします。

フランチャイズに加盟したい

独立を目指していてフランチャイズ加盟も検討している個人。新しい事業への展開方法としてフランチャイズ加盟を検討している法人。フランチャイズ加盟を考えている人にとって参考になる書籍を紹介します。
フランチャイズビジネスは独特のビジネスモデルになっており、加盟に際しては、フランチャイズビジネスに対する正しい理解は必須となります。また、なぜフランチャイズ加盟なのか?(独自に事業をやらないのか?)しっかりと自問自答することも必要です。

よくわかる!フランチャイズ入門(再掲)

再掲です。副題が「フランチャイズチェーン加盟を考えている人の必読書!」となっている通り、基本的にはフランチャイズ加盟を考えている人に向けた書籍となっています。フランチャイズ加盟による独立を検討している個人、フランチャイズ加盟による新規事業の展開を検討している法人、どちらの方にも役立つ内容になっています。
フランチャイズ入門

フランチャイズ加盟ワークブック

フランチャイズ研究会(著)/フランチャイズ研究会/2015年3月
フランチャイズ加盟で成功するためには、優秀なチェーンに加盟することが何より大切です。これまでのフランチャイズに関する解説本は学問的な内容に偏り、 加盟希望者がどうやって手順を踏んでフランチャイズチェーンに加盟するかという視点に欠ける嫌いがあります。
本書は加盟希望者が自分に合った本部を見つけて開業するまでの道筋を10のステップに分け、その内容を説明しています。それぞれのステップでは加盟希望者自身が書き込んでいくことで理解度をチェックできるワークブック形式で構成されています。
本書を活用すればフランチャイズ加盟の成功率が高まることは間違いなく、フランチャイズ加盟を検討している個人・法人必読の書です。

フランチャイズビジネスでのトラブルをなんとかしたい

何度も繰り返して言いますが、フランチャイズ本部と加盟者はフランチャイズ契約に基づいて協力しあい事業の成功を目指します。しかし、実際には、両者の間でのトラブル・係争は後を立ちません。そんなトラブル・係争を予め回避するため、あるいはトラブルが起きてしまった時にどうすべきか?そのヒントを探すための書籍を紹介します。

改訂 新FCトラブル回避ガイドブック

フランチャイズ研究会(著)/フランチャイズ研究会/2016年3月
本書は、「誰も教えてくれないFC本部のトラブル回避マニュアル」と副題をつけ、本部と加盟店間でトラブルが多発する場面を想定し、本部担当者は「何をしなければならないか」、「何をしたらいけないか」をQ&A方式でまとめています。内容については、フランチャイズを専門分野とする弁護士が監修しています。初版は2010年に出されましたが、2016年3月に改訂し、合同労組問題、加盟店会の組合結成など今日的テーマを追加しています。

よくわかる!フランチャイズ入門(再掲)

再掲です。「第5章 トラブルを未然に防ぎ成功に導くフランチャイズ加盟Q&A│P153~」が参考になります。全部で49のQ&Aにまとめてあります。
フランチャイズ入門

フランチャイズ契約の実務と書式(再掲)

再掲です。「第4章 契約当事者間での個別紛争の解決│P472~」が参考になります。


最後におまけ

以上、フランチャイズビジネスに関わる人にとって参考となる書籍を厳選して紹介しました。もちろん本を読むだけでは商売はうまくいきません。しかし、学ぶべきことは沢山あります。
星野リゾートの星野佳路氏は、

「課題に直面するたびに、私は教科書を探し、読み、解決する方法を考えてきた。それは今も変わらない」(「星野リゾートの教科書」より)

と言っています。
ということで、最後におまけの紹介を↓ ↓ ↓ ↓ ↓

星野リゾートの教科書

中沢康彦(著)/日経BP社/2010年4月
本書は、星野氏が経営上の参考にした30冊と、これらの本から学んだ理論の実践事例を紹介しています。本書の発行は2010年と時間が経過していますが、星野氏はインタビューでも『経営は「経営の教科書」どおりに徹底的に実践するといい』という発言をされており、今でも、その姿勢に変わりないものと思われます。

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フランチャイズ契約のポイント ~加盟金やロイヤルティはいくらに設定したら良いでしょうか?~ https://kernel-c.com/fc_fee/ https://kernel-c.com/fc_fee/#respond Sun, 15 Mar 2020 14:53:44 +0000 https://kernel-c.com/?p=2016 フランチャイズ本部の構築をご支援する際に「加盟金やロイヤルティはいくらぐらいにしたら良いでしょうか?」という質問をよく受けます。
質問:「加盟金」や「ロイヤルティ」の妥当な金額はいくらでしょうか?
答え:フランチャイズ本部によって様々
身もふたもない答えですが、この点について、今回のコラムで解説したいと思います。

加盟金とは何か?

「加盟金」とは、フランチャイズ契約締結時に加盟者から本部に支払われる金銭です。加盟金は、フランチャイズ契約によっては「権利金」「入会金」「分担金」などと呼ぶこともあります。
加盟金の性質は、一般的には、

  1.  営業許諾料(営業権の付与)
  2.  商標・サービスマークの使用料(ブランド使用料)
  3.  開業準備費用(立地診断費用・開業前研修費用等)
  4.  ノウハウ開示の対価(ノウハウ使用料)

として支払われるものとされています。
フランチャイズ契約によっては、加盟金は、ⅰ~ⅳの一部のみの対価する場合があり、そのような場合には「開業前研修費」「マーケティング費用」などという名目で別途徴収とすることがあります。

加盟金の金額はどのように設定したらよいのか?

大前提として、加盟金は、加盟者側がフランチャイズ加盟によって得られるメリットに見合う額でなければなりません。加盟金の額の設定に当たっては、それが第三者から見て暴利に当たるようなレベルであってはならず、同業他社の事例にならいながら妥当な金額を探っていくことになります。
まだ本部としての経験が浅く、ノウハウが十分でない場合や、そのノウハウがマニュアルという形にしきれていない場合、ブランド力が不十分な段階である場合などには、その金額は低く設定しておくべきでしょう。そして、本部やフランチャイズチェーン全体の成長とともに加盟金の金額を増やしていくという考え方もあります。
最初に「加盟金」の金額はフランチャイズ本部によって様々と述べましたが、このような背景があります。

加盟金は返さない?

多くのフランチャイズ契約書には、「加盟金は理由の如何を問わず返還しない」という規定が設けられています。これを、「加盟金不返還特約」という呼び方をしますが、このような加盟金の不返還特約は、法律上、原則として尊重されています。
しかし、近年では、この加盟金の不返還特約について、フランチャイズ本部が敗訴する事例も出てきています。加盟金不返還特約は絶対的なものではなく、慎重に取り扱っていただきたいところです。フランチャイズ加盟の勧誘に当たっては、加盟金が何の対価であるのか、加盟金不返還特約とは何かといったことについてもしっかりと説明することが重要です。
そして、何かしらの原因により、開業にいたらずに加盟契約が解除となったような場合、本部は、加盟金不返還特約を盾に「何が何でも返さない!!」という態度を取るのではなく、互いによく話し合いの場を持ち、場合によっては一部を返金するなど慎重な対応を取るべきです(ただし、明らかに加盟店に瑕疵があるようなケースでは本部は毅然とした態度を取るべきです)。

保証金の設定方法

加盟金は加盟時に本部が徴収するものですが、同じタイミングで加盟店から預かるものとして「保証金」があります。
保証金とは、加盟者が差し入れる担保としての性質を持つものです。具体的には、「ロイヤルティの支払い」「商品等の仕入」などの担保として設定します。
そして、フランチャイズ契約が終了した時には、担保としての必要性が無くなるため、本部は加盟者への債権が残っている場合には、その金額を差し引いて返金することになります。
保証金の金額設定は、加盟店1店舗あたりの売上高が大きくなる(=ロイヤルティが大きくなる)につれて、あるいは小売店や飲食店のように、加盟者が本部から仕入れる額が大きくなるにつれて、大きく設定することになります。要するに本部のリスクが大きくなる分だけ、保証金を大きくするという考え方になりますが、あまりに大きくすると、加盟店が開業する際に用意すべき最初の金銭が大きくなり過ぎます。
本部のリスク(おおよその1ヶ月間の仕入額など)と、開業時の初期投資額をにらみながら妥当な金額を設定することになります。

続いて定期的に徴収する「ロイヤルティ」について解説したいと思います。

ロイヤルティとは何か?

「加盟金」は、フランチャイズ契約締結時(最初)に加盟者から本部に支払われる金銭でした。

「ロイヤルティ」は、フランチャイズ契約締結後(実際には店舗オープン後)に、加盟者から本部に定期的に支払われる金銭のことであり、継続的に提供されるフランチャイズパッケージに対する対価です。

継続的に提供されるフランチャイズパッケージとは、「商標の継続的使用の許可」「継続的な経営・運営指導(SV)」などが含まれますが、それ以外にも、ITシステムの使用料や本部のよる宣伝広告費などが含まれる場合もあります。逆に、商標の継続的使用料だけを「のれん代」「看板料」と称して徴収する場合もあります。

このように、本部から加盟店に提供されるものは様々あり、これらの対価をまとめて「ロイヤルティ」として徴収することもあれば、それぞれを別々の科目として徴収することもあります。いずれにせよ、加盟店に対しては、毎月徴収される金銭が何の対価なのかをきちんと説明しておく必要があります。

ロイヤルティの算定方法は?

ロイヤルティの算定方法には、毎月決まった額を徴収する「定額方式」と、一定率を用いて算定する「定率方式」があります。また、これらを組み合わせた方式を取る場合もあります。

定額方式の場合には、“1席(坪)あたり●●万円”と店舗サイズに比例する形で設定する場合や、店舗サイズに関係なく“毎月●●万円”と一定額を設定する場合などがあります。定額方式を取る理由としては、本部が加盟店の毎月の売上を把握しきれない場合や、加盟店の業績アップに向けた経営指導を十分に行えない(行いたくない)場合です。また、加盟店のやる気を出させるために、がんばった分だけ収入(利益)が増えるように定額にする場合もあります。

一方、定率方式での算定方式を用いる本部が多く、加盟者の売上高の実績に一定率を乗じて算定しています。コンビニエンスストアの本部では、加盟者の粗利益の実績に対して一定率を乗じて算定しているケースが大半です。

小売業や飲食業では、本部から加盟店へ供給する商品や材料の卸価格に含み利益を確保することで、ロイヤルティ0円としている(形を変えてロイヤルティを徴収している)本部もあります。

ロイヤルティの算定方法の決定に当たっては、フランチャイズシステムの特性を考慮しましょう。POSや顧客の予約システムなど、共通のITシステムを導入しており、加盟者の売上を容易に把握できる業態であれば定率で良いですが、それが把握しにくい業態では定額や卸価格に含む形の方が管理はしやすくなります。

ロイヤルティはどのように設定したらよいか?

具体的に、ロイヤルティはどれくらいにすればよいのか?ということになりますが、これは、その業種の粗利益率の多少などによって設定額を検討することになります。

一般的に、粗利益率は、小売業<飲食業<サービス業一方で、本部から加盟者に対する商品・材料の量(総額)は小売業>飲食業>サービス業というケースが多くなります。この関係から、ロイヤルティの設定額・率としては、小売業<飲食業<サービス業という形になります。売上高に対する定率方式の場合、小売業で3~5%、飲食業で5~7%、サービス業で7~10%というイメージでしょうか。

ロイヤルティは、先に述べたように、「商標の継続的使用の許可」「継続的な経営・運営指導(SV)」という無形なものに対する対価であり、慎重な設定と、加盟店への十分な説明、開業後の適正な運営(指導や報告など)が不可欠なものとなります。

加盟店にとってロイヤルティは、FC契約が継続する限り支払い続けなければならないものであり、その設定は、加盟者にとって過度な負担にならない水準に設定する必要があります。一方、本部はフランチャイズシステムを維持していかなければならないため、ただ安く設定すればよいというものではありません。フランチャイズシステムを維持するために必要な金額の設定が必要になります。

また、複数出店を推奨するために、複数店を出店する加盟者に対しては、インセンティブを与えるような仕組みにすることも検討すると良いでしょう。2店舗目、3店舗目となると、本部と加盟店の関係性ができているうえ、本部としても運営コストを低く抑えることができるので、その利益を加盟者にも還元する事ができます。

以上のような考え方のもと、同業他社や類似する業種の状況を参考にしながら、加盟店の収支モデルの検討、本部の中期事業計画策定の中でシミュレーションを繰り返し、妥当な金額を設定することになります。

参考書籍:フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)

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