日本マーケティング学会「フランチャイズ・システム研究会」第2回報告会にて報告

日本マーケティング学会フランチャイズ・システム研究会第2回報告会で報告を行いました。

https://www.j-mac.or.jp/past-researchproject/48654/

テーマ:FCビジネスにおけるマーケティングとコンプライアンス
日 程:2024年7月20日(土)
場 所:駒澤大学 3号館206号教室
高木の発表テーマ:FCビジネスにおけるトラブルへの実務対応 ~「フランチャイズトラブル回避ガイド」の解説~

報告要旨:FCビジネスにおけるトラブルへの実務対応~『フランチャイズトラブル回避ガイド』の解説~

フランチャイズ(FC)ビジネスは、本部と加盟者は、互いの信頼と協力のもと、同じビジョンに向かって一つの事業を成功へと導いていくべきものである。しかし、現実には、多くのトラブルが発生しており、訴訟に発展するケースも少なくない。

フランチャイズトラブル回避ガイド」は、本部と加盟店間でトラブルが多発する167の場面を想定し、本部が対応すべき事項についてQ&A方式にてまとめたものである。

本部と加盟者は、FC契約によって結ばれたビジネスパートナーの関係ではあるが、契約の当事者同士として、互いに対立する関係とも言える。チェーン品質の維持や統一性を重視する本部と、経営の自由度を求める加盟者の間で軋轢が生じることがある。

本部による無理な営業がトラブルの原因となるケースは多い。1店舗でも多くの加盟店をオープンさせたい本部は、加盟店開発において、誇大表現された収益モデルの提示や、FC契約を急がせる行為など、無理な営業を行うことがある。本部が提示する収益モデルは、「根拠ある事実・合理的な算定方法等に基づいていること」「その根拠となる事実・算定方法が示されていること」が必要である。

FC契約締結においては「契約締結前に熟考期間を十分に設ける」「契約書の読みあわせをしっかり行う」など、加盟者が自由な意思に基づいて適切に判断できる状況になるように、進めることが重要である。

一方、FC加盟さえすれば成功すると考え、十分な情報収集・検討を行わず安易に契約し、本部に依存する加盟者もいる。法人加盟者の中には、既存事業がうまくいかない中で、一発逆転を狙って加盟するものの、既存事業の悪影響がFC事業にも及んでしまうこともある。

店舗運営におけるトラブルを招かないよう、日ごろからSVはFCオーナーに対する丁寧なコミュニケーションを取っておく必要がある。

一般的に、FC契約は長期に渡るものであり、事業を継続する中では、外部環境の変化は避けられず、本部が作り上げたビジネスモデルが陳腐化してくることもある。本部は、環境変化に合わせてビジネスモデルを変革し、契約内容も見直す必要があるが、この対応が遅れれば、加盟者とのトラブルへとつながることもある。

FCビジネスにおけるトラブルは、加盟説明会から契約解除後まで多岐にわたるものである。本部担当者は、FCにかかわる法律や契約書の内容を熟知し、それぞれの場面で留意しなければならない。