事業戦略シナリオとは、ビジネスプランニング(BP-ViMoSA)において、設計したビジネスモデルを具体的に事業化していくための、現状認識・分析を行うとともにストーリーを描いていくことです。
では実際に事業戦略シナリオはどうやって考え、まとめていけばよいのでしょうか?
そのためのフレームワークが【BP-S】です。このフレームワークは、私が役員をつとめているBIP(株)で開発した事業戦略シナリオを描いていくためのものです。
ビジネスプランニングの復習
ビジネスプランニングについては、「ビジネスプランニング最強のフレームワーク:BP-ViMoSA」にて概要を説明しています。
Vision:事業ビジョンと達成ステップの策定
Model:ビジネスモデルの設計
Scenario:事業戦略シナリオの策定
Action:実行計画策定と実行・継続的改善
本コラムでは「Scenario:事業戦略シナリオの策定」にて使用するフレームワーク『BP-S』について解説をします。
事業戦略シナリオの12項目
事業戦略シナリオは次の12項目について考えます。
- ターゲット顧客特性と競争の本質、
- 市場規模、成長性
- 解決すべき重要な課題
- 競合他社の動向
- 技術、標準化、規制動向等
- 自社の強み、弱みの認識
- 事業成功の鍵
- 勝つ戦略の要点
- 優先順位付けと経営資源配分、提携戦略等
- 組織体制(開発、調達、生産、マーケティング、営業等)
- 資本、資金政策
- 数値シナリオ(3つ)と事業リスクの整理と対応
事業戦略シナリオの策定にあたっては、12のパーツを6つのブロックに分けて考えるフレームワーク「BP-S」を使うことで整理がしやすくなります。それぞれのブロックやパーツ間の関係性に留意することで、全体として整合性のとれたシナリオを描くことができます。
下図を見てください。12のパーツ/6つのブロックが、それぞれ関係しあっていることがわかります。
シナリオ|現状認識・分析
まずは、BP-Sの上側と右側に注目してくだい。
ここでは、ビジネスシナリオ全体の整合性を保つために、「Model:ビジネスモデルの設計」にて収集・分析した情報を戦略における戦局を想定して整理するとともに、必要に応じて詳細に分析を行います。
ここでは、特に「市場・顧客」を把握しておくことが重要です。
事業のスタートアップ時点でターゲットにする市場・顧客を具体的にしたうえで、業界のキーパーソン、研究者、投資家、実際の顧客(候補)へのインタビューやアンケートなどを通じて検証を行います。
しかし、事業をスタートしていない段階で、調査・分析をいくら時間をかけて行ったとしても、実際に事業を始めると違っていたというケースがほとんどです。また、時間経過とともに、市場・顧客は変化をしていきます。調査・分析に必要以上に時間をかけることなく、実際に事業を進めながら修正をかけていくことが現実的です。
シナリオ|ストーリー
次にBP-Sの左下に注目してください。
事業戦略の実行に向けて、「具体的な方策」を体系的に整理し、事業を成功に導くまでのストーリー(一連の流れ)を組立てます。
実行段階では、事業の戦局ごとに部分的に対応するだけでは意味がありません。局面ごとに必要な要素(パーツ、ブロック)を連動させて、一つのストーリーを組み立てる必要があります。また、市場や顧客、経営環境の変化に応じた意思決定を可能にするために、複数のストーリーを用意しておくことも重要です。特に、リスクマネジメントの観点から、事業上の問題が発生した場合の対応も検討しておく必要があります。その時が来てから、場当たり的に対応をしていては、手遅れになり取り返しがつかなくなることがあります。
しかし、実際には起きていないリスクの想定をすることは、大変難しいことです。ここでも、ストーリーづくりに必要以上に時間をかけることなく、実際に事業を進めながら修正をかけていくことが現実的です。