前回のコラムでは、フランチャイズ本部構築最初の一歩として「プロトタイプモデルの確立」について解説しました。
今回のコラムでは、フランチャイズ本部を構築する際に検討すべき、「加盟店募集~契約~開業までのフローの設計」について触れたいと思います。
フランチャイズ加盟(加盟募集~開店)の全体像
加盟店の募集からフランチャイズ契約、開店までの流れは、概ね次のようになります。
この流れの一つ一つについて、具体的なフローを設計することで、
- この流れのなかで本部が何をすべきか
- 加盟者(希望者)には何をしてもらうか
- 事前にどのような準備をしておくべきか
- 流れのどこにリスクがあるのか
- そのリスクを回避するためにはどうするのか
などの検討・準備を行うことができます。
フランチャイズ本部の準備というと、フランチャイズ加盟契約書を作成しておけば良いと思われがちですが、このフローを設計すると、フランチャイズ契約書以外の書類も準備してく必要があることがわかってきます。
具体的なフローの例と設計のポイントについて解説します。
フランチャイズ加盟募集~加盟申し込み
フランチャイズ加盟店募集に対してフランチャイズ加盟希望者から問い合わせがあり、具体的な検討に入り、フランチャイズ加盟の申し込みに至るまでの流れです。この段階では、フランチャイズ本部と加盟希望者は、互いのことを知ろうと探り合いの状態にあります。
フランチャイズ本部は加盟希望者に対して、フランチャイズ加盟案内書や情報開示書面などを用いて、事業の特徴やフランチャイズ契約の内容などについて丁寧に伝えていくことになります。同時に、加盟希望者がビジネスパートナーとしてふさわしい人物(企業)なのかを見極めていくことになります。
加盟希望者の意思が固まったのならば加盟申し込みとなります。実際にフランチャイズ契約を締結するのは、店舗物件が決まってからとなるのが一般的なので、この段階で、加盟申し込み書の提出を求め、同時に加盟申し込み金の支払いを求めるよう設計することもあります。
店舗物件探索~加盟契約
有店舗型のフランチャイズであれば、店舗物件の探索・契約をして、フランチャイズ契約となります。
事前に、情報開示書面にて契約内容を伝えてはいますが、加盟者がフランチャイズ契約の内容を十分に理解してから契約できるよう、フランチャイズ契約書の読み合わせを行うことはもちろんのこと、熟考期間を十分に(1週間程度)取るようにしましょう。
ここで注意です。フランチャイズ契約書の内容も、フランチャイズ本部にとっての重要な秘密情報になります。フランチャイズ契約書を預ける場合は、加盟者が厳重に管理するとともに不用意に第三者に閲覧させないことを誓約させ、加盟者からフランチャイズ契約書の預り証を受け取っておくようにすると良いでしょう。
店舗設計・工事~各種手続き~研修~開店
いよいよ開店に向けた準備がスタートします。開業前研修を行うタイミングもこのあたりです。
開店まで様々な準備があり、本部も加盟者も忙しくなっていきます。開店までのスケジュールを本部と加盟者の間で共有し、それぞれが何を準備していくべきかを互いに確認しておく必要があります。
また、開業前研修がスムーズに進むよう、しっかりとしたカリキュラムを組んでおく必要があります。加盟者に対しては、研修の流れや事前の準備事項などを記述した受講要領等を渡しておくと、当日の流れもスムーズになります。
以上、加盟店募集~フランチャイズ契約~開店までのフローと設計のポイントについて解説しました。実際には順番通りには進まず、途中で止まったり、手戻りがあったり、平行に進んだりするでしょう。それでも、事前にフローを設計しておくことで、不測の事態にも対応することができるようになります。また、ここで解説したポイント以外にも検討すべき事項や、準備すべき書類はあります。このあたりについては、またの機会に解説したいと思います。
早く知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。