フランチャイズ本部は簡単に儲かるのか?フランチャイズ本部の事業計画づくり

よく「フランチャイズ本部は、加盟者から搾取している」などと言われることがありますが、本当にフランチャイズ本部は簡単に儲かるのでしょうか?
前回のコラムでは「フランチャイズオーナーはどれくらい儲かるのか?」という点について解説しましたが、今回は、フランチャイズ本部の事業計画について解説します。

フランチャイズ事業としてのビジネスプランを立てよう

ビジネスプランニングとは、企業を取り巻く環境の変化に対応し勝ち続けるために、顧客満足を追求し、社会経済的価値を創造し、その結果として企業を持続的に成長させるための一連の活動のことです。

フランチャイズ本部を立ち上げるということは、「フランチャイズ事業」という新しい事業を始めるということです。事業計画(書)を立てる(書く)必要があるのか、どの程度のレベルで立てるのか(書くのか)は、その会社の状況(上場しているかどうかなど)によって異なりますが、最低限の事業計画は立てておくべきでしょう。

  • フランチャイズチェーン全体としての売上高はどのくらいを目指すのか
  • フランチャイズ本部としての収益はどれくらいを目指すのか
  • 直営店とフランチャイズ店の比率はどれくらいにするのか
  • 何人のフランチャイズオーナーで、何店舗まで多店化するのか
  • 出店対象エリアはどこか(優先順位、ドミナント)

これらの目標の設定方法によって、フランチャイズ事業としての具体的なビジネスシナリオは変わってきます。

フランチャイズ本部の収益源とその事業計画

事業計画のフォーマットは自分たちの使いやすいもので構いません(以下、参考フォーマット例)。まずは、具体的な数値を設定してみましょう。

計画期間としては、業態によって異なりますが5~10年程度(大概は5年で考えています)で考えるとよいでしょう。

まずは、目標とするオーナー数と開業店舗数の設定からです。初年度は、フランチャイズ本部としての経験も浅く体制も不十分なことから、簡単に加盟者を増やすことはできないでしょう。数年経過すると体制もでき始め、また、一人のオーナーが複数店舗を出店できるようになると出店の効率も上がってきて店舗数を大きく増加できる可能性が出てきます。当然、加盟者にしっかりと利益が出ていることが大前提です。

フランチャイズ本部の収益源としては、フランチャイズ加盟時に受け取るものとして、加盟金、保証金(預り金ですがキャッシュになります)、開業前研修費、店舗設計・工事費のマージンなどがあります。

フランチャイズ加盟店が開業した後に定期的に受け取るものとして、ロイヤルティ、ITシステム利用料、商品マージンなどがあります。
ロイヤルティなどの継続的な収益源の計画数値を設定する際は、1年目の加盟者から受け取れる金額は半額で設定します。それは、その加盟者が1年のうちのどの月に加盟したかによって、その年に受け取れるロイヤルティの総額が変わるからです。仮に1月に加盟した場合は、ほぼ1年分が受け取れますが、12月加盟の場合には、ほとんど受け取ることができません。実際には、どの月に加盟するかまで想定することが難しいので、おおむね半分という設定をするのです。
例えば、ロイヤルティを5万円/月と設定した場合、1加盟者から受け取れる年間のロイヤルティは60万円(5万円×12か月)ですが、半分の30万円とします。1年目5加盟、2年目10加盟、3年目20加盟、4年目40加盟、5年目60加盟があった場合、以下のようなシミュレーションになります。

フランチャイズ本部構築のご相談で「加盟金やロイヤルティはいくらぐらいにしたら良いでしょうか?」という質問をよく受けますが、このことについて以下のコラムで解説しています。

フランチャイズ本部は儲かるのか?

目標とする具体的なオーナー数、フランチャイズ店舗数を設定してシミュレーションをしてみると、
「思っていた以上にフランチャイズ本部は儲からないかも」
ということが見えてくることがあります。本部構築のご支援を開始し、これらの計画を立て始めると、「けっこう大変ですね」という感想をよくいただきます。業態やフランチャイズパッケージの設計によって変わりますが、30店舗くらいのフランチャイズ加盟店が出店できて、ようやく儲かってきたなと実感できるレベルでしょうか。
そうすると、フランチャイズ本部の立ち上げを考える方の頭に思い浮かぶことが「SV(経営指導)の回数を減らす(又はなくす)」という方法ですが、これは大変危険な考え方です。
加盟者の支援が十分にできない状態のまま店舗数だけを増やしていくと、店舗運営の品質が十分に保てず、加盟者の業績が落ちてくる可能性が上がりますし、チェーン全体のブランドイメージにつながります。フランチャイズビジネスは、加盟者に十分な利益が出てこそ成り立つものです。加盟者が利益を上げられないようでは、フランチャイズ展開をする意味はありません。

フランチャイズ本部の立ち上げにかかるコストは?

事業計画を考えるうえでコストについての検討も必要です。

以前のコラム「フランチャイズ展開するための3条件をビジネスモデル・キャンバスから確認します」の中で、“本部企業に資金力があるかどうかも重要”と述べましたが、実際、フランチャイズ本部の立ち上げには、どのような費用がかかるでしょうか。下記に、主な費用項目をまとめました。

費用項目 内容
各種マニュアル作成 加盟店用マニュアル、本部用マニュアル
法務手続き関連 商標登録、フランチャイズ契約書作成、法定開示書面作成、その他関連書類作成
IT環境整備・開発 機器導入、要件定義・設計・開発
PRツール準備 加盟案内書、ホームページ、会社案内
加盟開発関連 フランチャイズ事業説明会、ビジネスイベント出展

企業の方針や体制、フランチャイズ事業の展開パターン、自社対応なのか?アウトソーシングにするのか?などによって、これらの項目や費用感は異なりますが、一つの参考にしてください。

古い情報になりますが、2008年の経済産業省「フランチャイズチェーン事業経営実態調査報告書」によると、アウトソーシングを実施している本部機能として、「加盟者募集・契約交渉」「チェーンの宣伝活動」「情報化,効率化」といった項目が上位に上がっています。また、アウトソーシングの年間費用としては、概ね1000万円程度となっています。
ただ、「教育研修」「店舗運営サポート」「スーパーバイジンング(SV)」「店舗開発・加盟店開発」については、フランチャイズ本部の中核機能であるため、安易に外部にアウトソーシングすることはおすすめできません。特にアーリーステージのチェーンにとってはノウハウを蓄積していく上で非常に重要となる機能なので、少し大変でも、しっかりと作り上げていくことをおすすめします。

これら以外の物としては、フランチャイズ本部の構築に携わる人材の人件費がかかります。さらに、フランチャイズ本部としての成長に合わせて新たな人材確保や教育なども必要ですし、オフィスの整備などにも費用がかかります。どれくらいの支出がいつ発生するか、計画をしておく必要があります。

本部組織体制の検討

一般的に、本部の立ち上げ及び運営に必要な本部組織体制として、「商品/サービス開発・マーケティング機能」「業態開発・イノベーション機能」「教育研修機能」「店舗運営サポート・スーパーバイジンング(SV)機能」「店舗開発・加盟店開発機能」「物流機能」「情報システム機能」といった7つの機能(組織)が必要となります。この7つの機能については、以下のコラムで解説しています。

これらの組織体制について、何店舗のときに何人程度の人材が必要か、おおよその年収を想定し必要な人件費を設定します。

フランチャイズ本部としてアーリーステージの場合、直営店の運営業務と兼務になることは想定されますが、徐々に準備を進めていき、フランチャイズ店が3店舗程度展開できてきたら、専任の担当を配置するといった方法が考えられます。フランチャイズ本部としての成長に合わせて、最初はあまり人員やコストをかけずに立ち上げていくことが現実的です。


以上のようにフランチャイズ事業としての損益計画を立て、フランチャイズ事業単体としてのキャッシュフローを見積もります。そして、どのタイミングでいくらくらいの投資が必要か、その資金をどのような手段で調達するのかという検討も行う必要があります。

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